【ウトゥ・カカジ通信員】沖縄文化シンポジアム「沖縄の伝統と工芸の魅力」がこのほど、ジョージ・ワシントン大学のジャックモートン・オーディトリアムで開かれた。同大博物館・テキスタイル博物館と県の主催で開かれた紅型展開催の記念イベント。沖縄から5人、専門領域の有識者が登壇し、スライドを使って琉球・沖縄の位置や歴史的背景や民族文化、紅型および琉球諸島全域の染織文化を英語で伝えた。

県内の識者や技術者が集まり紅型や沖縄の文化、歴史を考えたシンポジウム=ワシントン大学

 集まった約120人の受講者を前に、トム・ゴエナー教育学芸員は「日本で視覚的に最も劇的な染め物の一つでありながら、あまり研究されてこなかった紅型の本格的な展示会を米国初で手掛けられることをうれしく思う」とあいさつ。

 琉球史研究家の田名真之さん、民族学社会人類研究者、萩尾俊章さんの後、県立博物館・美術館の主任学芸員、興那嶺一子さんは紅型の歴史や種類、制作過程を説明し、紅型の材料の多くが輸入品で、貿易によって琉球が近隣諸国の技術や影響を取り混ぜて進化してきたと指摘。「紅型の最大の魅力は、近隣諸国から取り入れた染織技術を結集させ、沖縄独自のものを創作した沖縄の人々の力を表現しているところだと思う」と伝えた。

 県指定無形文化財「本場首里の織物」保持者で染織研究家の祝嶺恭子さんは久米島や宮古島、八重山や与那国はじめ沖縄島・各地で生産されている紬(つむぎ)や絣(かすり)、芭蕉(ばしょう)布など多彩な織物の種類や特徴、制作過程を説明。

 苦難の歴史を越えて生き残った背景にも触れ、文化は常に成長、成熟していくと言及。「大量生産の時代だが、沖縄の伝統文化が生き続ける限り染織文化も共に存在し続けていくことだろう」と話した。

 最後に国立劇場おきなわ芸術監督、嘉数道彦さんが紅型衣装の着方をデモンストレーションし、質疑応答を受けて幕を閉じた。

 ドイツのテキスタイル研究者、ブイエン・チェンさんは「外交に携わる琉球氏族の着物・紅型の材料にこれほど輸入品が使われているのは大変珍しい。研究のため来年沖縄へ行きたい」と話していた。