キャンプ地沖縄市のゲート通りが真っ赤に染まり、赤い風船が舞った。25日に行われた広島カープのセ・リーグ優勝パレード。オープン戦を終えた直後の選手を1万5千人が祝福した

広島カープのセ・リーグ優勝を祝い、赤い風船を飛ばすファン=25日午後、沖縄市・ゲート通り(下地広也撮影)

▼カープは1950年、原爆被害からの復興を願い誕生。何度も陥った存続の危機に、市民がその都度カンパなどで支えた。75年の初優勝時、広島でのパレードに集まった30万人には遺影を掲げる人、拝む人が数多くいたという

▼作家の重松清氏は小説「赤ヘル1975」(講談社)の中で記す。「『明日こそ』いうんは今日負けたモンにしか言えん台詞(せりふ)じゃけえ、カープは、どこのチームよりもたくさん『明日こそ』をファンに言うてもろうとるんよ」

▼弱小期を支えたのは県出身投手の安仁屋宗八さん(72)。V9時代の巨人を倒す姿が、米軍占領下に生きる沖縄の人々を勇気づけた。初優勝の前年に阪神へ放出され、歓喜の輪にいなかった

▼25日のパレードには安仁屋さんの姿が。少年から「どうしたらプロになれるか」と聞かれ、「まずは野球を本当に好きになること。嫌々ではうまくならない」。優しいまなざしだった

▼「開幕1カ月前なのにまだパレードか」との批判もある。でも、選手とのハイタッチに目を輝かせる子どもたちを見ると、やってくれたことに感謝したい。かけがえのない財産になるはずだ。(磯野直)