【連載「働く」を考える】

 もうすぐ3月。今年もまた、心がざわつく時期が来た。宮平辰也さん(30代後半)は県立高校の臨時教員になって10回以上、こんな春を過ごしてきた。4月から教員の仕事を続けられるかどうか、県の教育委員会から数週間内に結果を知らせる電話がくることになっている。年度末になると、気が置けない関係の同僚や先輩とも自然とこの話題を避けて会話が減る。「決まったらうれしい半面、同じ立場にいる臨時の仲間の枠を奪っていないか、心配にもなって」

「今年の採用試験が最後になるかもしれない」と語る宮平辰也さん

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 県外の大学を卒業して沖縄に戻り、企業で数年働いた後、臨時の仕事を得て教員採用試験の勉強を始めた。これまでに数年、臨時をせず試験勉強に専念したこともある。だが「これ以上ないというほど勉強した年に、ギリギリの点数で合格に届かなかった」。自己最高点が自信になった一方で、数年ごとに変わる出題傾向についていけなくなり、焦りを感じている。

 空き時間を見つけては机に向かう。だが「的外れの勉強じゃないか疑心暗鬼になる」。40歳が目前に迫る。結婚を考えたこともあったが、前に進めなかった。企業への転職もハードルが高くなった。

 県によると、県立高校に勤める臨時教員は約330人。学歴や経験年数に応じた給与体系で、住居や扶養など手当関係は本務と同額。賞与や退職金もある。宮平さんの手取りの賃金は当初の18万円程度から現在は25万円ほどになった。賞与も年2回、それぞれ30万~40万円あり不満はない。仕事では生徒が内面的に成長していく様子に喜びを感じている。

 しかし、学校行事や委員会活動では運営方法に疑問や改善策が浮かんでも「忘れるように、思わないように、見ないように」が鉄則だと明かす。1年限定で「意見しても意味がない」と思うからだ。

 一方で、どんな難儀な仕事でも淡々と引き受ける。任されるのは本務が就きたがらず空席になった役割がほとんど。遠隔地勤務にも応じた。若い臨時教員の中には部活顧問を断る人もいるが「扱いにくい人間だと思われて、次の採用に影響しても困る」。

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 「教員は会社員と違ってノルマがあるわけでもないし、休みたいときに簡単に休めて給料も安定している。優遇されていると思う」。仕事ぶりを評価してもらい、次の採用につなげたいと腐心する臨任と比べると、仕事で手を抜いてるように映る本務教員も多いと感じる。「こんな人たちと長く一緒に働くのも地獄、仕事を失うのも地獄。どっちがいいのか分からなくなった」

 「今年の試験で最後にする。結果次第では臨時もやめるかも」。つい先日、初めて両親にこう告げた。「この仕事に成長させてもらったのは確か。この1年で次をどうするか考えないといけない」(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

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