歴史から葬り去られたコンビ芸人の片割れに、スポットが当てられる。

「ショコラ ~君がいて、僕がいる~」

 20世紀初頭のフランス。白人芸人フティットと黒人芸人ショコラのコンビが上流社会で人気を集めていた。だが、時代は人種差別の根が深い時代。ショコラの役目はフティットに蹴られたり倒されたりしながらおどけて笑いを取ること。逆なら決して許されることのない時代であった。 

 売れるに従い増幅する自らのアイデンティティーへのゆらぎに耐えられず、ショコラの不安は破滅を引き寄せる。理不尽に痛めつけられた人間のサクセスストーリーを人は好むが、それは物語がまれな事例と知っているからだ。

 時代の波に逆らい、押し戻され、溺れてもなお向こう岸に夢をみたショコラの悲哀と、彼に寄り添い続けた人たちとの愛の物語。(スターシアターズ・榮慶子)

◇3月4日からパレットで上映予定