18歳未満のおよそ3人に1人が貧困の中で暮らす「子どもの危機」に、政治はどう役割を果たそうとしているのか。参院選沖縄選挙区では、子どもの貧困対策が大きな争点となっている。

 自民公認で現職の島尻安伊子氏は、支援員の確保や子どもの居場所づくり、親の就労機会改善や学び直し支援などを政策に掲げる。

 無所属新人の伊波洋一氏は、就学援助制度の充実や子ども食堂への支援、親の就労支援や最低時給のアップなどを訴える。

 貧困の世代間連鎖を防ぐ教育に力点を置き、親の貧困解消も不可欠とする考え方は共通する。

 子どもの貧困が問題なのは、経済的困難が低学力や非行、社会的孤立などと結びつき、将来に影響を及ぼすからである。

 「子どもの貧困対策推進法」が施行されたのは2014年1月。今に始まった問題ではないが、社会問題として認識されるようになったのは、つい最近のことだ。

 今年1月、県の調査で沖縄の子どもの相対的貧困率が29・9%と、全国の2倍近い厳しい状況であることが明らかになった。

 別の統計を使った山形大の戸室健作准教授の調査では、07年の30・7%から、12年は37・5%へ、貧困率が悪化している。

 沖縄戦や米軍統治、基地問題が影を落とす子どもの貧困に、政治が有効な策を打ち出せなかったことを、まずは反省しなければならない。

■    ■

 子どもの貧困対策として県内で進むのは、温かい食事を提供する子ども食堂と、進学を後押しする無料塾である。

 民間主導で開設され、行政が運営費を補助するケースが多く、活動継続のための安定財源の確保と、「小学校区に一つ」など数を増やすことが課題となっている。

 子ども食堂のスタッフからは「本当に必要とする子に情報が届いているのか」、母子生活支援施設の職員からは「貧困の子とそうでない子の線引きをせず、近くの塾に通えるシステムにしてほしい」という声を聞く。

 候補者には、ぜひ現場で子どもたちと接する人の話に耳を傾けてほしい。

 一方、ひとり親世帯からは児童扶養手当の20歳までの延長、若い世代からは返済不要の給付型奨学金の拡充を求める声が強い。

 不安を解消する積極的な施策が望まれる。

■    ■

 県は「沖縄21世紀ビジョン」が目途とする30年までに子どもの貧困率を10%へ改善する目標を定めている。  

 政策の実効性を高めるうえで数値目標は大切だが、県だけの取り組みには限界がある。

 そもそも子どもの貧困率の削減目標を定めるべきは国で、政府の責任は重い。

 所得の再分配が十分機能していないことが、子どもの貧困を深刻にしている要因でもある。

 税制で格差是正を図り、社会保障制度を充実させていく、政治の役割を語るべきだ。