〈「妻」の字が「毒」に見えたら倦怠期〉。第一生命保険が公募するサラリーマン川柳の過去の優秀作で、思わず心の中でうなずいた記憶がある

 ▼恋人時代とは違って、夫婦円満を自認する方でも毎日顔を合わせていれば、会話もマンネリ化し、相手への思いも冷めてしまうはずである。倦怠期を避けるには、適度な距離を置くことが必要なのかもしれない

 ▼適度な距離といえば、この夫婦の距離は想像を絶する。きょう七夕の夜に天の川を渡って1年ぶりに会う織り姫とひこ星である。二人が恋人同士ではなく、実は夫婦だということは案外知られていない

 ▼中国から伝わった七夕伝説は元々、仕事もせずに遊んでばかりいた仲のいい夫婦を引き離して、1年に1度のデート以外は仕事の毎日を強制するという儒教的思想の要素が強い話から始まったらしい

 ▼ちなみに二人の距離はおよそ15光年。光の10分の1の速度(時速約1億800万キロ)の乗り物でも、実に片道150年かかる。現代風にいえば、電話も通じない超々遠距離の別居生活である

 ▼そんな二人を「悲運な夫婦」と同情するか、「気楽でいいな」とうらやましがるのか。それはあなたと相手の心の距離を測る心理テストになるかもしれない。今宵(こよい)は夜空を見上げて、「妻」という字を思い浮かべてみるのもいい。(稲嶺幸弘)