「彼はロック歌手ですか、フォーク歌手ですか」と県内バンドメンバーの1人に聞くと、困った顔をした。すぐには答えられないくらい幅広いジャンルで活動したということだろう

▼78歳で亡くなったミュージシャンのムッシュかまやつ(本名釜萢弘=かまやつひろし)さん。父親は日本のジャズ界の草分けティーブ釜萢さん。音楽のある家庭環境で育った

▼1950年代半ば、高校時代にカントリー&ウエスタンのバンドを結成し、米軍キャンプで演奏、ロックにも触れた。60年代は人気のグループサウンズ「スパイダース」のメンバー、解散後の70年代にソロで「我が良き友よ」を大ヒットさせた

▼「心が押しつぶされそう」(堺正章さん)「風のように生きるおしゃれを、いつも教えてくれました」(松任谷由実さん)「素晴らしい兄貴」(井上順さん)などの惜しむ声

▼最近も10代や20代の若者とファンクバンドを結成するなど、音楽への情熱はとどまるところを知らなかった。いとこで歌手の森山良子さんは「病院でもギターを弾いて歌っていた」と話している

▼ジャンルを超え、世代を超え、時代を超えて自然体で好きな音楽を続けたかまやつさん。「音楽をやっているということが、毎日生きているって感じなんですね」とも語っている。まさにその言葉を体現した人生だった。(玉寄興也)