出演者に囲まれて映画を見るという珍しい体験をした。三上智恵監督の新作「標的の島 風(かじ)かたか」(11日から桜坂劇場で上映)の試写会。客席に座る多くが抗議現場に通う市民で、眼前のスクリーンにも映っている

▼高江、辺野古、宮古、石垣。米軍と自衛隊の基地建設が同時多発で進む。なぜ巨大な権力にあらがえるのか。人々は「世代の責任」を語る

▼子を守る「風かたか(風よけ)」になる、と「童神」を歌う古謝美佐子さん。「てぃんさぐぬ花」が好きな宮古の若い母親は、祖先の平和の心を「心肝に染める」とさらり言う

▼世代をつなぐのは文化である。民俗学を研究する三上監督は石垣のアンガマを例に描く。お盆になれば祖先が帰ってくる。自分も死んだら子孫に会いにいく。無責任に生きられない規範が祭りに宿る

▼「祖先が私たちを思ってくれたと確信できる。だから受け継いだものを汚して子孫に渡すわけにはいかない。その哲学こそ、権力者が持っていない沖縄の強さだと思う」

▼主役の一人、山城博治さんはいまだに勾留されていて試写会に来られなかった。でも、招待された家族の女性が感想を教えてくれた。「あの時なぜ何もしてくれなかったの、と子孫に問われないように。勝つ負けるじゃない。やらなきゃ」。山城さんも、きっと同じことを言うだろう。(阿部岳)