春はスタートの季節。進学や就職を機に、沖縄県外で新生活を始める人もいるだろう。違う土地での生活は不安なもの。うまくなじむこつはあるのか。1月に「内地の歩き方 沖縄から県外に行くあなたが 知っておきたい23のオキテ」(ボーダーインク)を出版したコミュニケーションスタイリストの吉戸(よしど)三貴さん(40)に話を聞いた。(学芸部・高崎園子)

「違いを知り、準備しておくと、ソフトランディングできる」とアドバイスする吉戸三貴さん=沖縄タイムス社

吉戸さんの著書「内地の歩き方 沖縄から県外に行くあなたが知っておきたい23のオキテ」

「違いを知り、準備しておくと、ソフトランディングできる」とアドバイスする吉戸三貴さん=沖縄タイムス社 吉戸さんの著書「内地の歩き方 沖縄から県外に行くあなたが知っておきたい23のオキテ」

東京での「挫折」をもとに

 吉戸さんは那覇市出身。東京の大学に進学し、そのまま就職したが体調を崩して帰郷。県の奨学金制度でパリ留学した後、沖縄美ら海水族館の広報担当として働いた。31歳のとき東京のPR会社に転職して再度上京。PRやコミュニケーションを支援する会社を立ち上げ、東京を拠点に沖縄と行き来している。

 1回目の東京生活は周囲にうまくなじめず、ストレスで体調を崩し、「挫折した」という吉戸さん。知識や気持ちの面で準備ができていた2回目は生活がぐっと楽になったという。

 「感覚的なギャップが大きいと思う。その土地には、人々が長年かけて身に付けた『暗黙のルール』がある。沖縄で当たり前のことが『違う』ことを大原則として知っていた方がいい」とアドバイスする。

人間関係は距離感に注意

 例えば会話。人間関係が密でどこかでつながっていることが多い沖縄では、共通点を探ろうと個人的なことを聞き、それが仲良くなるきっかけにもなる。だが県外、特に大都市圏では浅い関係の相手とは一定の距離感を保つ。当たり障りのない会話から、距離を縮めていくのが流儀。

 時間感覚も違いの一つ。バイト先に5分の遅刻を3回続けてして「すごく怒られた」と話していた県出身の学生がいた。「ちょっとくらい遅れてもいいさーは通じない」と吉戸さん。

 「内地は『律し合う文化』、沖縄は『許し合う文化』。どちらが良いではなく、ベースにある違いはそこだと思う」

電車の乗り方、事前に試乗を

 沖縄にはモノレール以外鉄軌道がない。戸惑うことの一つが電車の乗り方だ。「皆スマートに乗っているように見えるけど、自分がいつも使う路線以外は意外と詳しくない」。会社や学校の行き来など頻繁に使う路線を押さえておくといいという。何号車に乗れば学校に近い出入り口にすぐ出られるなど、事前に試乗して確認すると慌てない。

 遅延などトラブル時の対処法を覚えておくのも重要。メールした上で遅延証明書を提出するなど、あらかじめ会社や学校のルールを調べておく。乗り換えを間違えたり、IC乗車券のチャージに列ができたりしているかもしれず、「できるだけ時間の余裕を持って出て」。

 社会人の心得として「短時間で判断する人が多く、一度『ルーズな新人』というレッテルを貼られるとそれを覆すのは大変。初動でやるべきことはきちっと守ったほうがいい」とアドバイスした。

 その上で「沖縄では出合えないことに出合えるのが魅力。『違い』を前向きに捉えて楽しめたらいい」とエールを送った。