悠久の歴史に育まれた沖縄空手の神髄が凝縮されていた。4日、沖縄空手会館であった奉納演武と記念式典。伝統の「型」を受け継いだ達人の技に、来場者の視線が注がれた。かつて分裂した苦難の歴史を乗り越え、各流派や団体が一堂に。那覇の街並みを一望する“殿堂”が完成し、県内空手界が「発祥の地・沖縄」の誇りを胸に船出した。

展示施設で空手の歴史や先達の空手家が使用した道具や武具に見入る式典来場者ら=4日午後、豊見城市・沖縄空手会館

 落成式は青空の下、記念植樹で幕開け。奉納演武は、赤瓦造りのシンボル施設「特別道場」で、県指定無形文化財「沖縄の空手・古武術」保持者ら4人が、半世紀以上の鍛錬で磨き上げた空手や古武道の型を披露した。来場者は、気合の入った重みのある受けや、力強い突き、独特の呼吸法など、一つ一つの動きを見逃さないよう凝視した。

 県は今回の式典に、県内の空手団体役員と全ての道場主約540人を招待した。沖縄伝統空手道振興会の喜友名朝孝理事長は「振興会の発足から10年目の節目に開館した。県民の誇る空手開館を拠点に、世界への空手普及、振興に努力していく」と誓った。

 資料室では、来場者らが空手発展の歴史や、各流派の武具などの紹介を熱心に鑑賞。「この展示だったら観光客も堪能できる」といった感想も聞かれた。

 記念植樹とテープカットに参加した豊見城市の伊良波中1年、仲本青空(そら)さんは「地元に会館ができてうれしい。道場も広くて、多くの流派や先輩たちのことを学べる」と感激。2019年に沖縄開催が決まっている全国高校総体の空手で「上位入賞できるよう練習を頑張りたい」と話した。

■「聖地」の歴史学ぶ場に期待

 沖縄空手会館の落成には、国内外の空手関係者ら約700人が訪れ、見学した。口々に「空手の聖地にふさわしい」「空手の誇りを学べる」と喜び、この先の利用に胸を躍らせた。

 「空手が生活に密着し、武具が暮らしの道具から生まれてきたことがよく分かる」。資料室を見学した空手歴20年の當間千枝子さん(66)=浦添市=は、蹄鉄(ていてつ)に似た鉄甲などをまじまじと眺めた。「道場に通うだけでは分からない歴史や道具を知ることができる。通って、発祥の地の誇りを学びたい」

 7歳で空手を始めた京都市空手道連盟の岡村康秀副会長(65)は「資料数が圧倒的に多い。空手を知りたければ会館に来ればいい。ルーツを知りたい人にとっての聖地だ」と力説。「空手の型には、実戦でも使える基本が詰まっている」と語り、型を学べる講習会などの開催を期待した。

 ニュージーランド空手道連盟のデニス・メイ会長(60)は「ワンダフル! とても素晴らしい施設。世界の愛好家が伝統空手に触れることができる」と喜んだ。