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  • 沖縄の県立病院、医師への賃金未払いが2016年度だけで9億円超え
  • 1972年から続く当直医への支給「慣例」に、労基署が是正を勧告
  • 残業代未払いには看護師なども含まれ、支給総額はさらに増える

 時間外勤務の当直医師らに対する賃金未払いがあるとして、昨年11月に沖縄県立2病院が労働基準監督署から是正勧告を受けた問題で、全県立6病院の医師・歯科医師への未払い額が2016年度だけで9億円を超える見通しであることが7日、沖縄県病院事業局(伊江朝次局長)のまとめで分かった。勧告は医師だけでなく、看護師ら他の医療従事者を含めた未払い残業代の過去2年分の支給を求める内容。同局は「勧告に基づけば9億円どころでは済まない。総額がどこまで膨らむか現時点では全く見通せない」と説明する。(社会部・新垣綾子)

南部医療センター・こども医療センター(資料写真)

■2016年度分は対象医師298人に

 勧告を受けたのは北部病院と南部医療センター・こども医療センターだが、同局は全県立病院に共通した給与の取り扱いがあるとして、6病院にまずは16年度の当直医師の人数と未払い額の報告を求めていた。

 その結果、対象医師は計298人に上り、報告額が最も多かったのが中部病院の約2億5千万円。南部医療センター約2億3千万円、宮古病院約1億8千万円で続き、最も少ない精和病院は約2800万円だった。近く県公務員医師労働組合との団体交渉があり、16年度人事院勧告などに基づく給与引き上げで合意すれば、さらに未払い額が増える見込みという。

■1972年から続く「慣例」が背景

 今後は当直医師の残る1年分を含め精査する。看護師や検査技師、事務職などの過去2年分も洗い出す方向だが、勤務表や電子カルテなどから残業の実態を把握するのが困難なため、算出方法を検討している。

 当直医師は午後5時から翌日午前8時半までの15時間半、救急対応などに当たる。

 未払いの背景には1972年11月に当時の県厚生部長から各県立病院長に出された内部通知を受け、拘束時間より7時間半短い一律8時間分を2・5割り増しで支給してきた「慣例」がある。

 これに対し労基署は平日と休日、時間帯などで異なる割り増し区分(2・5~7・5割り増し)を基に、時効前の過去2年の未払い分を適切に支給することなどを求めている。