2017年(平成29年) 12月12日

タイムス×クロス コラム

【辺野古 ただちに埋立承認撤回を】(下)県民投票にメリットなし 新基地阻止は知事権限で

乗松 聡子
乗松 聡子(のりまつ さとこ)
『アジア太平洋ジャーナル ジャパンフォーカス』編集者

1965年東京生まれ。カナダ・バンクーバー在住。共著にガバン・マコーマック氏との『沖縄の〈怒〉-日米への抵抗』(法律文化社)など。

 私が登壇させていただいた、1月28日の緊急シンポジウム「沖縄はどうすべきか」(主催・沖縄対外問題研究会)の報告は翌日29日の沖縄2紙に出ているのでここでの詳述は避けるが、新聞の見出しを見ても、会場での反応を見てもこのシンポの関心の中心は「撤回問題」であった。

沖縄対外問題研究会の緊急シンポジウム「沖縄はどうすべきか」で発言する筆者(左から2人目)=1月28日、那覇市の沖縄大学

 「撤回問題」については、パネリストのお一人から、行政法の専門家に聞いた話として、二つのシナリオがあるとの報告があった。一つは埋立承認の留意事項に国が違反した場合それを事由として「撤回」をすること。この場合国に落ち度があるので国から基地中止による損害に対する「補償」の問題はないという。

 もう一つは県民投票を行い、半年ほどかかると予想されているが、新基地反対の結果が出たらそれを事由に「撤回」するということ。この場合は国が1千億に及ぶ補償を求めてくる可能性があるとのこと。また、別のパネリストは、近年世論調査等で6~8割かそれ以上の県民が辺野古新基地に反対しているという「民意の高止まり」があることを受け、「白黒はっきりさせる」ための県民投票を「天王山」として行うことを推した。

 私はこれらの意見に対し以下のようにこたえた。(1)県民投票は無意味だと思う。県民投票に半年かけたらその間に工事は進み補償を要求される額もつり上がる。勝っても法的拘束力はなくその代償に見合うメリットは期待できない、(2)「撤回」については仲井真弘多前知事の埋立承認以降に公益を害する事由が生じた場合にできるのだから、これから新たな事由を作らなくともできるはずだ。

 現に翁長雄志知事は自らの知事選当選が「撤回の事由」になると言っていた。承認の「法的瑕疵(かし)」を調べるための第三者委員会続行中にも専門家集団が「すぐに撤回可能」と訴えていたことなどから、今すぐ撤回はできるはずだ、と。そのとき聴衆からは大きな拍手が起こった。

 翌日の沖縄2紙の報告記事でも、「訪米前に撤回を」と言ったパネリストは私だけだったのにその点を強調した報道だった。観衆の反応をくんでのことではないかと察する。

 シンポが終わった後も、高江や辺野古で常に体を張って運動してきた人たちから「よく言ってくれた」と次々に言われた。「遠くにいる人の方がよく見えている」とも。「私を呼んで言いにくいことを言わせている」、という人もいた。運動の中には、翁長知事のやり方に疑問を呈したり批判したりしてはいけないという雰囲気があるらしい。私はシンポで、「意見の対立は民主主義の実践につきものであり、分断を恐れて建設的批判もしなくなってしまったら権力側の思うつぼになる」とも伝えた。

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