先日、東京から沖縄に帰省した際、那覇で、桜がまだ咲いていた。沖縄で桜の花が見られるのは2月までと思っていたが、3月まで咲いている木も珍しくないらしい

▼県外ではやがて桜前線が北上を始める。開花時期が重なるため、門出とかけて使われることも多い。〈…みんなが心に握ってゐる桃色の三等切符を/神様はしづかにお切りになる/ごらん はらはらと花びらが散る〉。詩人の杉山平一さんの「桜」の一節にもある

▼杉山さんは、桜の花を旅立ちの乗車切符に見立てた。往時、改札で駅員が切符にハサミを入れた後の切れ込みは、花びらの先のようにも見えていた

▼人生の新たな旅が始まろうとする季節である。昨日、県立高校の入試が終わった。宮古島では家族が校庭で弁当を囲み、合格に向け子どもたちを励ます。9日付紙面に載った写真を見て、胸のぬくもりを感じた人も多いだろう

▼準備した通り、できがよかった生徒もいれば、調子がいまいちで、来週に出る結果が不安な生徒もいるだろう。目標に向かって頑張ったのだから、きっと神様は高校生活への切符にハサミを入れてくれよう

▼大学受験の後期日程も控えている。うれしい報告が来る人ばかりではあるまい。でも落ち込みすぎないように。停止と出発を幾度となく繰り返すのが人生の旅の常だから。(宮城栄作)