地中海という平和な響きの海の上で、生きる場所を求めたアフリカの人々が遭難や転覆、死をも覚悟の上で、自由を求めて逃げ惑い、漂っている事実を地球上のどれぐらいの人が知っているだろう。

「海は燃えている」の一場面

 作品の舞台・ランペドゥーサ島は難民たちが目指す、イタリア最南端の小島。戦火を逃れたアフリカの難民たちが年間約5万人以上保護されている。

 映し出されるのは、素朴な島の暮らしと過酷な難民の実情。美しい海の上で起こる対照的な出来事を見ていると、地球上各地で誰にも知られることなく生きようともがく大勢の人々の存在を感じる。

 戦争、飢え、貧困。当事者たちの気持ちをはかり知ることはできないけれど、今日も誰かが苦しんでいること、明日はわが身かもしれないことを忘れずにいたい。そのうえでいろいろ頑張っていきたい。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で18日から上映予定