人々が異なる意見を排除し、社会に差別が蔓延(まんえん)し、国が人権侵害を放置する時、戦争へとつながる道が姿を現す。

山城博治さんの即時釈放を求めデモ行進する市民ら(資料写真)

 先日、ある米上院議員に山城博治氏の長期勾留について意見を求めた。在日米軍再編にも関わるこの議員は、2年前の沖縄視察時には、辺野古の抗議活動の取り締まりが甘いと米軍に苦言を呈するなど当事者意識を発揮していたが、山城氏の話になると「日本の国内問題だ。私たちには関係ない」と切り捨てた。

 普天間移設の行方を今も静かに見守る元米高官は、県外移設を主張しながら埋め立てを承認した前知事を引き合いに、「政治家と違い、妥協しない運動のリーダーたちは政府にとって厄介な存在なのだろう」とつぶやき、県知事や日本政府の反応に興味を示した。

 翁長雄志知事が山城氏の長期勾留について言及したことはまだないが、外務省は8日の衆院外務委員会で正当性を主張し、国際人権規約に反するものではないと述べた。

 一方、非政府組織の国際人権活動日本委員会は10日、ジュネーブで開会中の国連人権理事会会合で「軽微な犯罪で長期間身柄拘束されており、国際人権規約に違反する」と即時釈放を求めている。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、国際社会が各国の人権侵害を国内問題として放置した結果、虐殺や戦争につながったと指摘し、平和の実現には各国が協力して人権を守る努力を継続する必要性を説いている。

 民主主義の国アメリカの大統領となったトランプ氏は、人種や性差別、移民排除を公言し、自身を批判するメディアや裁判官をたたき、軍事費を大幅に増やす一方で環境や社会福祉費を削り、国連人権理事会からの離脱も検討している。

 ゼイド国連人権高等弁務官は8日、人権理事会での演説で、トランプ政権の人権問題の取り組みに深い懸念を表明した。

 まさに今、アメリカという国の民主主義がどこへ向かうかが問われている傍らで、沖縄は再び人権を奪われようとしている。

 法律や刑事法の専門家らは、山城氏の起訴事実は違法性が低いものであり、長期勾留は不当で、明らかに国際人権規約に違反しているなどと批判している。

 山城氏の長期勾留は、単なる日本の国内問題ではない。沖縄を軍事の島として維持したい日米両政府の沖縄に対する沈黙の強制だ。

 獄中で27年間を過ごし、南アフリカの人種隔離政策(アパルトヘイト)に反対する世界的な顔となったネルソン・マンデラ氏は、「刑務所に入らずにその国の真の姿を理解することはできない。国家は、どのように上流階級の市民を扱うかではなく、どのように下流階級を扱うかで判断されるべきだ」と語った。

 強いられた沈黙が支配する独房で孤独な毎日を過ごしている博治さんには何が見えているのだろう。(平安名純代・米国特約記者)