連載「働く」を考える・特別編

 連載「『働く』を考える」の第1部「労働者のすがた」の取材では、「問題が起きて初めて労働に関する法律を勉強した。事前に知っておくべきだった」という声が聞かれた。実際にあった労働問題やよく耳にする事例を専門家に聞き、Q&Aにまとめた。賢い労働者になるための知識を身に付けたい。

Q 会社が従業員の社会保険の加入手続きをしておらず、国の機関から保険料の追徴を求められました。会社の加入義務と、従業員の未納分の支払い義務について教えてください。

A 保険未加入 会社に責任

加藤浩司さん

 適用事業所においては社会保険である厚生年金保険と健康保険の加入は事業主の義務です。従業員が未加入事業所で就労し、被保険者でない状態に置かれることは保険給付が十分に受けられない状態や年金記録が消える状態を放置することとも言えます。未加入の責任は会社側にあり、従業員本人はその被る損害について会社に損害賠償を請求することもできます。

 法人の場合には全ての業種で従業員1人から、個人事業でも常時5人以上で農林漁業、サービス業を除いて適用事業所となります。そこで常時使用される70歳未満の従業員は被保険者となります。保険料は会社が従業員負担分と会社負担分を併せて納付し、支払い遅延や、納付しない場合には罰則や延滞金を請求される場合があります。

 しかし、未納分の追徴を求められた場合、従業員負担分については「本来は払うべきだったもの」なので、従業員自身が払う必要があります。労基法24条に基づいて通常の保険料は給与から天引きすることが可能ですが、未納分に関しては両者で協議が必要です。一方的な給与天引きに応じるのでなく、それぞれの事情に応じて将来の不利益分まで見越して、現実的な解決策を協議すべきでしょう。

 社会保険を管轄する行政機関には、未加入事業主に処罰や加入を促すとともに、従業員の相談に積極的に応じ、手続きを援助することが求められます。

 従業員の皆さんはいつでも年金事務所に自分が被保険者であるかどうかの確認ができます。会社の対応に不安がある場合は自身の未納・未加入の状況を重大な事態と考えて、確認することをお勧めします。(加藤浩司さん 社会保険労務士)