「きたーって思いましたね。手が震えました」。環境調査や養蜂など昆虫に関わる仕事を手掛ける名嘉猛留(たける)さん(38)=沖縄市=は、新種のカメムシに出合った瞬間をこう語った

▼石垣島の崎枝半島の巨木の洞(うろ)で見つけた小さな生き物。ひっそりと人目に触れず、生態もほとんど知られていない。東アジアで初めて確認された貴重な発見となった(14日付本紙)

▼一般的に、学名はその虫の見た目や発見者にちなんだもの、生態に由来するものが多いというが、名嘉さんのこだわりは強かった。日本初の発見が沖縄であること、世界で使われる学名を沖縄の言葉で残したい-

▼共同研究した東京農業大学の石川忠准教授もその思いに賛同し、「木の洞」をしまくとぅばで表して「キーヌガマ」と命名した。そう聞くと、素人でも興味が湧くから不思議

▼独学と昆虫仲間や研究者とつながる中、仕事を通して観察眼を養ってきた名嘉さん。興味を持って足元の自然や森と接すれば発見の機会は増えると説く。小さな気づきが、未知なる自然の魅力と偉大さを知る一歩につながると教えてくれる

▼今回の新種発見で期待されることは「沖縄の生物多様性が世界的にみても高いことが改めて立証される」と石川准教授はいう。「キーヌガマ」が知らせてくれた自然の多様性を守るのは私たちだ。(赤嶺由紀子)