18歳の人口減少、大学全入時代に突入し、生徒獲得へしのぎを削る予備校業界。そんな中、着々と生徒数を伸ばしている予備校がある。那覇市泉崎にある大学受験予備校「グレイトヴォヤージュ」。創立から5年目を迎える同校の代表取締役・大岩光昭氏(43)は言う。「予備校は本来、学ぶことのその先にある人生にまで影響を与える存在じゃないだろうか」。人生の大航海へとこぎ出す「出発点」としての予備校を目指す同校の取り組みを聞いた。

■大手にはない、一人一人の力に応じた予備校をめざして
―なぜ今沖縄で予備校を設立しようと考えたのですか? 学校の基本理念を教えて下さい。
大岩 僕は熊本県出身で、大阪で大学を卒業後、そこで10年間塾・予備校教師を務めました。その後、沖縄県内のある予備校を立ち上げるスタッフの一人として参加したんです。その時はそこまで沖縄に愛着があったわけではないんですが、そこで教える中で、一人ひとりの生徒の人生と深く関わる中で、彼らを介して沖縄で働くことが必然的に思えるようになりました。

 僕らが、彼らの人生の転機に立ち会うことで、彼らはその後、どんな人生を描くか、知りたいと思ったし、彼らが帰ってくる場を創っていきたいと思いました。2013年4月、グレイトヴォヤージュは牧志のむつみ橋の空き店舗を利用してスタートしました。講師3人と教え子の医学科チューター4人で生徒40人、まるで寺子屋みたいな予備校でした。できる子、できない子、一人一人のレベルは違っても、全ての受験生の力に応じて細かく見ていく方針を徹底しました。そして授業料は一律、50万円にしました。

 現状の予備校の経営には、成績優秀者を特待制度で募り、彼らを手厚く指導し、その合格実績を誇り、次年度の生徒募集につなげる、という傾向が見られます。それで「一般の」生徒はどうなるのか? 僕はそうした手法はとらない。全ての生徒を等しく、手厚く見切る。それでも沖縄の家庭で50万円の支出は決して安くない額です。意欲はあるのに経済的理由から学ぶ機会をあきらめる社会であってはならない、このことは今後もGVが追求していく課題であり、チャレンジです。

 2年目からは泉崎へと校舎を移し、現在講師は14人。入塾生は2年目が110人、3年目は160人、4年目は230人と増えました。当初、同校の規模的には、一人ひとりの生徒を見切るために良質な講師を十分に揃えるのは経営的に過分でした(笑)。しかし今では僕らのやり方の評判が徐々に広がり、それが入塾者の増加に繋がってると実感しています。そして働く人の環境を保証することも大事で、そうすることで講師陣も力を発揮してくれる、それを生徒に還元できる、全て通じているんです。

■東大の哲学者に高校生起業家、様々な人生観を学ぶ場に
―卒業生らとのいい関係が築けているんですね。ウェブサイトでもしきりに「受験のその後」について言及されています。
大岩 予備校教師としてキャリアを積む中で、感じたこと。僕ら予備校は多感な時期の彼ら彼女の合格を目指して「受験の1年」を預かる立場です。しかし実は受験の1年より、大学に行ったその後の人生の方が長くて、ずっと大切なはずです。僕らはその分岐点となる大切な1年を預かっている、そう思うと、教育の場としての予備校が与える影響や責任の重さを感じると同時に、立ち位置、役割が見えて来た。自分を実現する場として、人生を変える場として、僕らは送り出した後も見据えて関わっていこうと。学ぶこととその先の人生を考えることはつながっていて、矛盾しないと思うんです。

-3月25日に東大の哲学教授・梶谷真司さんと学生起業家の仲田洋子さん(昭和薬科附属高校)を招いての特別講義を開くそうですね。これの意図するところは?
大岩 これまでにも絵本作家や国境なき医師団のメンバーなど、魅力ある人物達との出会いの場を提供してきました。世界を拓くきっかけ、人生を豊かにするきっかけの場に予備校を位置づけたい。未来に関心が持つことが学ぶ意欲につながっていく。それが本来の教育だと思うんです。点数を上げる事だけが予備校の仕事じゃないはず。世界と沖縄、日本と沖縄、アジアと沖縄、基地問題に経済格差、沖縄には様々な社会的課題が多いのも事実ですが、豊かな発想で分断されない「対話ある社会」を目指すための、そのサポートができればと考えています。特別講義は一般参加もできます。興味があればぜひ話を聞きに来て下さい。

-大岩代表が考える「真の学力」とは何ですか?
大岩 これから子ども達が出て行く社会環境は決して生ぬるいものじゃない。まずはそこに、一人で立ち、したたかに生き抜く力を身につけてほしい。その上で、自分が依って立つ社会に目を向け、それを良くすることに力を尽くして欲しい。自ら荒野を切り拓く力と、他者や社会を豊かにする力、それに通じるものが「真の学力」ではないかと考えています。


-今後、グレイトヴォヤージュが目指すものとは?
大岩 まずはこうした予備校事業の取り組みを発信し、インパクトを残したいですね。前述しましたが、全ての生徒を一人ひとり、等しく、手厚く見きることが経営的な成功にもつながるということを実証したい。そのことで、予備校や広く教育業界において、「スタンダード」を引き上げたいですね。一方で社会人を招いた特別講義や、モノレール内の広告をジャックするなど今までの手法にとらわれない心浮き立つ楽しいやり方で、企業姿勢を表現していきたいですね。

 また今の時代に即したコミュニケーションツールとして、ユーチューブ上に「GVTV」と題して動画配信にもチャレンジしています。実験的に東京大学国語の解答をアップしましたが、今後は、世の中を知る「企業レポート」などのコーナーを設け、生徒たちに公務員以外の仕事の魅力も伝えていきたいですね。地域に根差した取り組みとして近隣の小中学生向けのイベントなどにもチャレンジをしてみたいですね。

住所:那覇市泉崎1-9-22(城間ビル2・3・4階) TEL:098-862-7210

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