昔からの習性で、朝刊を手にすると最初に「きょうの運勢」に目を通す。中身次第で気分のいい朝になるし、憂鬱(ゆううつ)になったりもする

▼個人差はあるだろうが、人はとかく自身の「運」について敏感である。思いがけなくいいことがあれば「運がいい」と喜び、期待に反して残念なことが起きれば「運が悪いな」と肩を落としたりする

▼タレントの萩本欽一さんは、長年の芸能活動で運のため方、引き寄せ方のノウハウを会得したという。自著で「運は誰もが平等に持っている。ただ運のため方、使い方の上手な人が『運のいい人』と呼ばれるだけ」と書き留めている

▼萩本さんによると、人生の運と不運の配分は50%ずつ。「だからダメな時、つらい時には、その裏で確実に運がたまっている。つらさが大きければ大きいほど、その先にでっかい運がやってくるの」と説く

▼ギャンブル好きで知られた作家の阿佐田哲也さんも、運に関するこんな言葉を残している。運を一族の「貯金」に見立て、「親から子へ、子から孫へ、運の口座は引き継がれていくうちに、貯金をおろす幸運な末裔(まつえい)が現れるのだ」と

▼人生には、雨の日もあれば晴れの日もある。すべてがうまくいかず自身の不運を嘆きたくなる時には、人生を達観した二人の「金言」をおまじない代わりにつぶやいてみるのもいい。(稲嶺幸弘)