「軍事行動は当時、最後の手段ではなかった」。2003年、イラク戦争へ参戦した当時の英ブレア政権の判断や、イラクの占領政策を検証した独立調査委員会が報告書を公表した

 ▼イラクが大量破壊兵器を保有しているとの誤った情報に基づき、法的根拠もあいまいなまま軍事行動に走った政権を厳しく糾弾している。戦闘終了後の占領についても、課題の大きさを考慮し損ね、成功とはほど遠いものだったと断じる

 ▼10万人以上ものイラク市民が犠牲となった軍事侵攻であった。10年以上もたって「誤りだった」と当時の政権が批判されるに至っては、イラク市民や英国兵が犠牲となった理不尽さは極まりない

 ▼だが、人々の命運を左右する政治の決定の事後検証は、民主主義社会にとって欠かせない。責任の所在を明確にして問い、将来の教訓を導くこともできる。今回の報告は英国の民主主義を機能させる意味でも重要である

 ▼開戦後すぐに「支持」を表明した日本はどうだろう。後方支援として自衛隊を派遣し、後に違憲と司法が指摘した兵員輸送もなされた

 ▼政府側のおざなりな報告書はあったが、検証や責任の追及は不十分のまま「過去」になっている。「大義なき戦争」に参画した過ちは去っていない。検証不足のまま進む社会に見えてくる明日は、心もとなく映る。(宮城栄作)