PTAへの強制加入が違法であることは、広く認識されるようになった。すでに、熊本PTA訴訟判決(熊本地裁判決平成28年2月25日)の時点において、PTAが「入退会自由の任意加入団体」であることは、争いのない「前提となる事実」と認定されている。この訴訟では、その後、原告が控訴し、今年2月10日、福岡高裁にて、被告PTAが、入退会の自由を周知することを約束する和解が成立した。

 もっとも、多くのPTAは入退会の自由を明示しないので、加入義務があると誤解してPTAに加入する人も少なくない。さらに問題なのは、PTAが、自らの関与する活動から、非会員の子どもを排除しようとすることだ。場合によっては、子どもへの不利益をちらつかせて、PTA加入を迫ることすらあるという。

 実際、筆者の講演会を聴きに来たある保護者は、PTAを退会したことで、PTAが学校を通じて募集する遠足や、PTAが参加する地域のお祭りについて、自分の子どもの参加を拒まれ、大きな精神的苦痛を受けたという。

 また、大阪府堺市の私立学校では、退会者が実費負担を申し出たにも関わらず、PTAは退会者の子どもに卒業式のコサージュを用意しなかった。この保護者は、非会員の子どもを排除したことについて損害賠償請求訴訟を起こしているという。

 こうした非会員の子どもの排除をいかに止めさせるべきか。これには、PTA会員の子どものみを対象にサービス等を提供する活動は、学校の全児童・生徒を対象とするのと異なり、「学校教育」とはいえないことに注目する必要がある。

 まず、公立・私立を問わず、学校施設の学校教育以外での利用は、社会教育その他公共のために使う場合でなければ許されない(学校教育法137条)。会員限定でのサービス等の提供は、「公共のため」のものとはいえない。従って、学校は、非会員の子どもを排除するPTAに対して、学校施設の利用を拒まねばならない。

 また、学校内で、すなわち、他の子どもたちに見える形で、特定の子どもだけをPTAのサービスから排除することは、保護者によるいじめであり、児童・生徒間のいじめを誘発する危険が高い。学校には、いじめ防止のため、保護者に対し、いじめ防止の重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずる必要がある(いじめ防止対策推進法15条2項)。PTAに加入する保護者にも、いじめにならないよう啓発・指導しなければならない。

 さらに、保護者にも、自分のこどもに対して、いじめを行うことのないよう規範意識を養うための指導等に努める義務がある(同法9条)。PTAに加入する保護者が、自ら率先して特定の子どもをいじめるのは、当然この責務に違反する。

 すべての保護者には、自分の子どものみならず、すべての子どもの幸せを望む心があるはずだ。ただ、その実現方法は、一人一人違ってよい。PTAに加入せずとも、子どもたちの成長に貢献する方法はいくらでもある。

 子どもの多様な個性を尊重するためには、その保護者の個性の尊重も不可欠だ。(首都大学東京教授、憲法学者)

3月30日に講演会を開催します

 憲法学者で首都大学東京教授の木村草太氏の講演会「憲法施行70年、沖縄で憲法を考える」(主催・沖縄タイムス社、特別協力・連合沖縄)が30日午後7時から那覇市久茂地のタイムスホールで開かれる。

 講演会は入場無料、先着順。開場は午後6時半。講演後には、近日発刊予定の木村氏の新著「憲法の新手」の販売会もある。