「うーまくー」「なちゅん」「しかぼー」。肩車されておどけたり、口を大きく開けてソフトクリームを頬張るなど、小麦色に日焼けした女の子の写真にしまくとぅばの題名が添えられる。県立芸術大学デザイン科を卒業した國吉美和さん(22)の写真集だ。2月にあった大学の卒業・修了作品展で夏をテーマに発表した。しまくとぅばに触れる機会の少ない子どもたちに興味を持ってほしい-と取り組んだ。(社会部・山田優介)

「なち(なつ)」。両手を大きく広げる来夏ちゃん(國吉美和さん提供)

写真集を製作した國吉美和さん(左)と妹の来夏ちゃん=4日、県立芸術大学

「なち(なつ)」。両手を大きく広げる来夏ちゃん(國吉美和さん提供) 写真集を製作した國吉美和さん(左)と妹の来夏ちゃん=4日、県立芸術大学

 モデルは國吉さんの妹、来夏(こなつ)ちゃん(7)だ。「妹が小さいときから、撮りためていた写真がたくさんあった」。来夏ちゃんの名前に発想を得て、写真集の題名はしまくとぅばで「なちがちゅーん(夏が来る)」だ。

 作品は日常会話がきっけけとなった。國吉さんが家で「しにー(とても)」「やーよ(お前よ)」と話した。すぐに祖母の秀子さん(80)に「『しに』ではなく『でーじ』。『やー』も『うんじゅ』と言いなさい」と注意された。それを機に、祖母から習った言葉をメモして使い始めた。

 しかし、友達同士の会話は相変わらず、若者が話す、うちなーやまとぐちのまま。祖母から聞いた黄金言葉の「生まり島ぬ言葉忘ねー、国ん忘ゆん」(生まれた島の言葉を忘れることは、生まれ故郷を忘れてしまうこと)が気になるようになった。

 若い世代に何ができるのか考えた。「おじいやおばあが話すしまくとぅばに小さいときから触れて、慣れ親しんでほしい」。来夏ちゃんたちの世代でも楽しめるように、日常会話で使えるしまくとぅばを選び、それを写真で表現した。

 小さい子どもでも楽しめるように、サイズは15センチの正方形。カラー34ページに平仮名の文を添えた。

 「なち/なつ/なちのほかにも、うりずんっていったりするよ」。「はーもー/はがないひとのことだよ/はみがきはちゃんとしようね」。絵本感覚で読んでもらえるよう工夫した。

 写真撮影では、モデルの来夏ちゃんに立ち方、しぐさまで細かくポーズをつけた。何回も三輪車に乗って転ぶよう指示したことも。来夏ちゃんは「しょっちゅう転んだから、足がチクチクしてかゆくなった。けど、楽しかった」。しまくとぅばは、まだよくわからないが、来夏ちゃんは写真集を楽しそうに見ているという。

 卒業・修了作品展では、親子連れから好評だった。國吉さんは「写真集をきっかけに、しまくとぅばに関心を持って、使うようになってくれたら、うれしい」と笑顔を見せた。写真集はインターネットで公開している。