政府が閣議決定した「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法の改正案に対し、沖縄弁護士会の池田修会長は「一般市民が捜査の対象になり、国民の表現の自由やプライバシーが制限される」として、反対する姿勢を示した。「取り締まりの対象が不明確で、政府の説明も不十分だ」と指摘する池田会長に改正案の問題点を聞いた。(聞き手=社会部・国吉聡志)

「共謀罪で、人権が大きく制限される」と警鐘を鳴らす池田修会長=21日、那覇市内

既存の法体系覆す

 -改正案の問題点は。

 「政府は目的をテロ対策としているが、重大犯罪は予備罪や準備罪などを備えた現行法で対応できる。必要のない法律だ」

 -政府はどんな説明をしているのか。

 「国連総会が2000年に採択した国際組織犯罪防止条約の要請で、新たな法整備が必要だと説明している。だが、同条約はマフィアや国際詐欺集団などの経済犯罪を取り締まるためのもので、テロ対策が目的ではない。『共謀罪』を創設しないと条約を批准できないというのはおかしい」

 -改正案の成立で懸念されることは。

 「成立すると『不正なことを計画しているらしい』という曖昧な状況で捜査が始まるだろう。捜査範囲が計画の周辺にいる一般市民にも及ぶ可能性がある。昨年の改正で対象犯罪が拡大した通信傍受が使われる可能性があり、令状を示されることなく秘密裏に電話を盗聴される気味の悪さを想像してほしい」

 -反対する理由は。

 「刑事法は、犯罪の実行を処罰するのが原則だ。だが改正案は計画段階での処罰を認めてしまい、既存の法体系を根本から覆す。人権を侵害する法律で、法律家として許容できない。政府は東京五輪対策なら、何でもしていいということにはならない。この法律が必要なのか、一人一人が考えてほしい」