国土交通省が発表した2017年の公示地価(1月1日時点)は、住宅地の全国平均が08年以来9年ぶりに上昇に転じた。全用途平均も2年連続で上昇し、全体として地価が回復傾向にあることを示した。

 三大都市圏や札幌・仙台・広島・福岡の中核4市など経済の好調な地域がけん引役となって全体を押し上げる、という構図が鮮明だ。

 地方圏の中で、目立って力強い動きを示しているのが沖縄である。住宅地、商業地、工業地の全用途平均が前年比でプラス3・1%となり、4年連続で上昇した。

 住宅地は3・0%、工業地は4・5%上昇し、上昇幅はいずれも全国1位。商業地はプラス3・2%で、過去最高の全国5位だった。こうした地価の動向は、県内景気が全体として拡大基調にあることの反映だといえる。

 15年国勢調査によると、県内の人口増加率は5年前の国勢調査よりも3・0%増え、全国で最も高かった。入域観光客数も順調に推移している。16年度の総数は目標の840万人を超え、過去最高を4年連続で更新する勢いだ。

 大型宿泊施設やイオンモール沖縄ライカムのような大型商業施設が整備され観光客が増えると、投資が活発になり、周辺の土地需要が高まる。

 雇用環境が改善されると、個人消費が刺激され、それを当て込んでさらに投資が増えるという好循環が生まれる。

 住宅ローン減税や低金利政策によって住宅の購入意欲が高まったことも、住宅地の不動産価格を押し上げた。

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 沖縄は元気だ。沖縄経済の足取りは確かに力強い。しかし、中国人観光客の爆買いがここにきて沈静化したように、観光は政治・経済などの外部事情に影響されやすい。

 平均滞在日数や、1人当たり消費額、外国人客の誘客など、目標を達成するために改善すべき課題は多い。

 東京オリンピックは外国人観光客を誘客するまたとない機会ではあるが、宿泊施設の整備だけでなく、何よりもノウハウを身につけた人材の育成が欠かせない。建設業界の人手不足と資材の高騰が建築単価を押し上げる要因として働き、土地需要に影響を与えることも考えられる。

 何もかもがうまくいって順調な時は、成功に酔って、内に潜む停滞と混迷の芽に気付かないことが多い。エコノミストの藻谷浩介さんも本紙連載のコラム「着眼大局」で、沖縄の人口増について注意を喚起している(16年12月4日付)。

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 日本の人口は10年10月から15年10月の5年間に戦後初めて減少に転じた。しかし、出生率の高い沖縄県の人口は4万1千人増え、全国で5番目の増加率だった。地方圏で減少傾向が強まっているにもかかわらず、沖縄では増えている。

 藻谷さんによると、15歳から64歳までの生産年齢人口は減っているのだという。生産年齢人口が減ればその社会にさまざまな影響を与える。

 地価上昇に酔うだけでなく、今こそ中期的傾向を見定め対策を練ることが必要だ。