安倍昭恵首相夫人との親密な関係と、夫人を通した安倍晋三首相との関係が、鮮明に浮かび上がる証言だった。

 大阪市の学校法人「森友学園」への国有地払い下げを巡り、衆参予算委で行われた学園理事長・籠池泰典氏の証人喚問。虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる立場で籠池氏は、国有地取得に向け昭恵夫人に電話で相談を持ち掛けたことを明らかにした。

 相談後に夫人付きの政府職員から送られてきたとするファクスを読み上げ、昭恵夫人が職員を通じて相談内容を財務省に仲介したことを示唆。ファクスには財務省に問い合わせた結果、同省の見解として「現状では希望に沿えないが、引き続き見守りたい」とあり、その後の払い下げにつながるような一節も明らかになった。

 こうした経緯から籠池氏は、国有地が8億円余り値引きされて学園側に売却された経緯について政治の関与を問われ「あっただろうと認識している」と述べた。

 理由として国有地の定期借地契約の延長を交渉したのに要した時間と労力に比べ、払い下げの決定は「神風が吹いた」(籠池氏)と称するほど素早いものだったことをあげる。

 首相は、同学園を巡る国有地払い下げ問題に関し「私や妻が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と言明している。菅義偉官房長官によると昭恵夫人も関与を否定しているというが、フェイスブック上の反論では真相究明にはほど遠い。国会は、昭恵夫人を証人喚問すべきだ。

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 「安すぎる」と疑問視されている売却額については、土地の浄化に多額のコストを要することを理由に不当ではないとした籠池氏。一方で売却額は「国から提示があった」とし、決定過程は財務省側の問題とした。

 売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典現国税庁長官らの参考人招致がようやくきょう実現するが、民間人の籠池氏が証人喚問だったのに比べ参考人招致とはあまりに身内びいきが過ぎる。国会の追及姿勢が問われる。

 籠池氏は、昭恵夫人からの100万円の寄付についても渡された場所や状況を生々しく証言した。封筒を渡す前に夫人は人払いして、2人きりになると「どうぞ、安倍晋三からです」と封筒を渡した。中をのぞくと「金子(きんす)だった」。帰った5、6分後に夫人から電話があり「名前を伏せるよう」と言われたという。

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 「トカゲのしっぽ切りにせず、他の関係者を呼んで真相究明を進めてほしい」

 証人喚問では昭恵夫人のほかにも、鴻池祥肇参院議員、稲田朋美防衛相、松井一郎大阪府知事、畠成章元大阪府議会議長(故人)、北川イッセイ元国交副大臣、柳本卓治参院議員など多くの公人の名前があがった。

 1小学校の新設を巡り、国有地売買や設置許認可、寄付金集めなどあらゆる場面で大勢の公人関与が疑われているのだ。この国の政治が問われている。

 国会は、すべての関係者を招致し、ただすべきだ。