翁長雄志知事は25日、就任以来初めて、新基地建設に反対する名護市辺野古の大規模な集会に参加した。

 小雨降るなか、各地から参加した約3500人(主催者発表)を前に、翁長知事は「あらゆる手法で撤回を必ずやります」と、埋め立て承認の撤回に踏み切る考えを初めて明言した。

 新基地を造らせないため、退路を断って、強い決意で取り組むことを改めて宣言したのである。

 沖縄防衛局の海上工事が進めば進むほど、現地で抗議行動を続ける市民の中から「知事はなぜ撤回をしないのか」と不満の声が高まっていた。

 承認撤回に踏み切れば政府が撤回を無効化するための法的措置を取るのは確実で、市民団体と県の間に生じた距離感を放っておけば深刻な亀裂に発展しかねない。

 熟慮を重ねてきた知事はここにきて、局面打開に打って出ることを決意した。

 さらに翁長知事はこの日、もう一つの重要なメッセージを発信した。「きょうを期して、これから新しい闘いが始まる」「(闘いは)新しいページに入った」と強調したのである。

 参加者を鼓舞するように、同じ趣旨のことを島くとぅばでも語りかけた。

 「なまからる、やいびーんどー」

 知事メッセージの背景にあるのは政府に対する根深い不信感だ。多くの県民が「差別的扱い」を実感し、政府不信を募らせている事実こそが、強引な基地建設が招いた真の危機というべきである。

■    ■

 3月末に更新期限を迎える「岩礁破砕許可」について、政府は「地元漁協が漁業権を放棄したため、再申請は不要」と判断し、沖縄県に再申請しない方針を決めた。

 埋め立て工事をスムーズに進めるため、水産庁は新基地建設を最重要視する官邸の意向に従い、従来の法解釈を一方的に変更し、県の権限を「無力化」したのである。

 「日本は法治国家」だと県の対応を批判してきた菅義偉官房長官に対し、翁長知事は県民集会で「法治国家ではなく放置国家だ」と強く批判した。

 政府の狙いは、埋め立て工事を着実に進め、来年1月の名護市長選までに「後戻りのできない現実」をつくり出すこと。来年11月の県知事選の段階までに「辺野古は終わった。選挙の争点にはならない」という状況をつくり出すことである。現実を既成事実として受け入れ、「仕方がない」と基地建設を認めていくのか、それとも沖縄の未来をかけて踏ん張り、別の新たな現実を自らつくり出すのか。県民が問われる局面がきた。

■    ■

 約5カ月の勾留のあと、18日に保釈された沖縄平和運動センターの山城博治議長は、集会が始まる前にあいさつした。「どのような暴力を振るわれても、県民の誇りある心を折ることはできない」

 辺野古問題は重大な局面にさしかかっている。県民が今の選択を誤れば、子や孫の世代に影響し、将来世代の自治と自己決定権を制約する結果になるかもしれない。