昨年10月に開所した県の「ひきこもり専門支援センター」(南風原町)に今年1月末までに延べ387件に上る相談が寄せられた。相談から引きこもり当事者98人のうち、32人と3分の1が40代以上であることが浮かび上がった。引きこもり歴は、把握できた66人のうち「5年以上」が28人で、そのうち「20年以上」も4人いた。

 沖縄も全国と同じように、引きこもりの「長期化・高年齢化」傾向を示していることがうかがえる。数字の背後にある実態を考えると、現実はもっと深刻に違いない。

 内閣府は引きこもりについて、半年以上にわたり自宅や部屋から出ない人、趣味の用事や近所のコンビニなどに行く以外に外出しない人と定義している。

 相談内容のうち、家族と当事者に共通しているのは「将来への不安」である。

 親が年金などで面倒を見ることができるうちはいいが、病気にかかったり、介護が必要になったり、あるいは亡くなった場合、引きこもりの子どもを支えることができなくなり、「共倒れ」になる恐れがあるからである。

 内閣府は昨年9月、「15~39歳」の引きこもりが約54万人に上るとの推計を公表した。2010年の調査より約15万人減ったとしたが、問題がある。「35~39歳」で引きこもりとなった人の割合が前回と比べ倍増したのに、40歳以上の追跡調査は対象外としたからである。

 このため当事者とその家族らの「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(東京)が40歳以上で10年以上に及ぶ引きこもり調査を実施している。

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 センターができてからわずか4カ月で多数の相談が寄せられるというのはこれだけニーズがあるという証しだ。

 ただセンターは支援の入り口でしかない。センターを核に医療や福祉、ハローワークなど関係機関に、どう橋渡しをしていくかが課題だ。

 引きこもりの全県的な支援組織である「引きこもりを考える会おきなわ」(豊里友治会長)は、圏域ごとに引きこもりの「居場所」づくりを県に要請している。自宅から出て居場所に集まる。引きこもりは自分1人でないことを互いに確認する。就労に向けた中間施設の位置づけだ。

 先の内閣府の調査で引きこもりから抜け出したきっかけとして「アルバイトを始め、社会と関わりを持った」「同じような経験をしている人と会った」などが挙がっていることからみても、人と交流する居場所づくりは有効である。支援者の養成も必要だ。

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 「考える会おきなわ」は県に対し、40歳以上を含めた実態調査を実施するよう求めている。引きこもりの理由は千差万別だが、沖縄は貧困との関連を指摘する声がある。

 「家族会連合会」が全国を6ブロックに分けて各10~15世帯程度を調査対象にしていることを考えると、県は地域のことをよく知る民生委員らの協力を得てもっと精緻で大掛かりな独自調査をしてもらいたい。それによって行政がなすべき具体的な支援策が見えてくるはずだ。