沖縄県南城市で72歳の市立玉城中学校3年生、諸見里安信さんが23日、同校で卒業証書を受け取った。経済的に苦しく、中学進学を断念。那覇市の珊瑚(さんご)舎スコーレの夜間中学校で3年の学業を終え、在籍する玉城中で1人だけの卒業式に出席した。「卒業し、すごく楽な気持ちになった。宝くじに当たったら高校進学したい」と冗談交じりに思いを吐露した。

玉城中学校の卒業証書を受け取る諸見里安信さん(左)。中学卒業に「いま、すごく楽な気持ち」という=23日、南城市の同校

 沖縄戦前年の1944年に生まれた諸見里さん。与那原小学校に3年までしか通えなかった。成人後は土建会社などに勤め、道路や住宅建設に汗を流した。13カ国に出張し、学校に行けず、破れた草履を履くアフリカの子どもに自らの境遇を重ねたという。

 珊瑚舎スコーレには70歳で通い始め「うれしさと勉強についていけるかの不安で、ドキドキした」。分からないことが分かる喜びを感じた3年間。玉城中での卒業式には市職員も駆け付け「自分のために何人もの人が集まっていただき、うれしい」と感謝した。

 妻節子さん(70)は、辞典を何度もぼろぼろにした夫に「ドゥーヌオトーヤシガ(自分の夫だけど)偉いと思う」と笑顔。兼屋辰郎校長(57)も前途を祝った。

 珊瑚舎スコーレによると、夜間中学校卒業生の卒業証書の受け取り方は、生徒本人と校長が決める。現役生と一緒にもらう生徒もいれば、一人で受け取る人、郵送で済ませる人もいる。