好奇の目にさらされ、近隣トラブルになることも多いいわゆる「ごみ屋敷」。問題の根っこをたどっていくと、孤立、認知症、貧困といったお年寄りが抱える困難が見えてくる。

 本紙が実施した41市町村アンケートで、自宅や自室に大量に物をため込むごみ屋敷が、2015年度までの3年間で102件確認された。

 そのうち認知症が疑われる高齢者が住む家が、4割を超える42件に上った。病気を抱え掃除や片付けがままならない状況なのだろう。

 アンケートからは「支援者との関わりを拒み、掃除をさせてもらえない」「介護保険サービスにつなげたいが拒否された」など、「セルフネグレクト(自己放任)」と思われるケースも目立った。

 生活環境や栄養状態が悪化しているのに必要な支援を求めないセルフネグレクトの分かりやすい例がごみ屋敷といわれる。 

 セルフネグレクトに陥っている人の多くは自分からSOSを発しないため、確認された数字は全体の一部と見た方がいいかもしれない。

 アンケートでは「費用負担を嫌がり、介護サービスを拒否している」実態も報告されている。

 高齢者の生活保護受給割合が全国で2番目に高いなど、県内のお年寄りが置かれている経済状況も背景に横たわる。

 全体に共通するのは、家族や親族との関係が希薄で、地域から孤立する人たちである。ごみ屋敷は人間関係が生んだ問題でもあるのだ。

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 ごみ屋敷が社会問題としてクローズアップされるようになったのは、ここ10年ほどである。

 「悪臭や害虫が出る」「火事が心配」など住民の苦情を受け、地域からごみ屋敷をなくす取り組みが増えてきた。

 現行法では当事者の同意なしに敷地内の物を外に持ち出せないため、ごみの強制撤去や支援策を盛り込んだ条例の制定が進む。

 しかし「撤去ありきで強制力に頼ってもうまくいかない」というのが先行自治体の感想のようだ。一時的にきれいになっても、時間がたてば元に戻ってしまうからだ。

 本紙アンケートにも「一度みんなで片付けたが、再び同じ状況になった。片付けるだけでは根本的な解決につながらない」との声があった。

 県内でも条例を望む声がある。 

 福祉的支援や地域の見守りが、遠回りに見えて効果的だということを心に留めておきたい。

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 内閣府の10年度の調査で、ごみ屋敷状態などに陥っている高齢者は約1万800人。

 別の調査では孤立死に至った事例の8割でセルフネグレクトが確認されている。

 支援の拒否は、支援が必要ないのではなく、差し伸べられた手の握り返し方が分からないだけである。

 自治体と地域が協力し、当事者の心を解きほぐすことからはじめ、何度でも粘り強く手を差し伸べてほしい。

 ごみ屋敷問題は、命をも脅かす深刻な問題である。