2017年(平成29年) 11月25日

大弦小弦

[大弦小弦]那覇市内のアパート。玄関を開けた瞬間、鼻の奥を刺激する異臭に…

 那覇市内のアパート。玄関を開けた瞬間、鼻の奥を刺激する異臭に目まいを覚えた。ごみが散乱する湿っぽい部屋は、生活する場所とは程遠い。以前、独り暮らしの高齢者宅を取材した時のことだ

▼男性は要介護度は低いが、病気がちで親族などはいなかった。体調が悪いと救急搬送を繰り返す中、地域の粘り強い見守り支援で、なんとか施設入所につながった

▼役職にも就き定年まで民間会社を勤め上げた女性。高齢に伴って自宅周辺にごみが増えていったが、地域の支援を拒み続けた。「意思も尊重しなくてはいけないし、簡単ではない」。支援者が口にするジレンマを何度も聞いた

▼本紙調査で、自宅にごみをため込む「ごみ屋敷」が2013年度から3年間で、県内で102件確認された。ごみ屋敷状態に至る要因は複雑多岐にわたるだけに、実態の把握が難しいのも現状だろう

▼孤立や病気、精神疾患、認知症、セルフネグレクト(自己放任)など複雑な原因が背景にあるとされる。あらためて思うのは、こうした状況は誰もが直面し得るということだ

▼ごみ屋敷状態が健康や生命に与える影響を防ぐために、支援策の充実はいうまでもない。同時に、誰もが老いに伴う衰えにより、似たような状況に陥る可能性があることを自覚することが、新たな支援策を探る一歩にもなるだろう。(赤嶺由紀子)

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