安全保障関連法が施行されて29日で1年がたった。

 憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認や、他国軍への後方支援拡大、国連平和維持活動(PKO)拡充などを可能とする法律だ。

 これまで日本は自国が攻撃された場合の「個別的自衛権」の行使しか認めておらず、「専守防衛」の安全保障政策を大転換するものである。

 元最高裁長官やほとんどの憲法学者が安保法を「違憲」と判断している。集団的自衛権の行使容認が憲法解釈の限界を超えているからで、自衛隊が米軍とともに戦争する懸念は何も払(ふっ)拭(しょく)されていない。法案は強行採決を繰り返して成立、各地で訴訟が起こされ、国民の支持も得ていない。私たちは安保法に反対する。

 政府は後方支援拡大のため、米国などと弾薬の提供が可能になる物品役務相互提供協定(ACSA)改定に署名、今国会で発効に必要な承認を目指している。憲法9条が禁じる武力行使との一体化を避けるため「非戦闘地域」に限定していたのを「戦闘地域」でも提供を可能とする。

 安保法を前提にした日米共同訓練も昨年11月から沖縄周辺などで行われており、本格的な運用段階に入っている。

 同盟国に「直接的かつ有効な役割」を求めると議会演説したトランプ米大統領。安倍晋三首相はこれに先立つ日米共同声明で「日本は同盟におけるより大きな役割および責任を果たす」と宣言している。

 自衛隊の役割がなし崩し的に拡大され、世界に展開する米軍を自衛隊が支援、日本が「戦争のできる国」になることを強く危惧する。

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 施行後の最大の出来事は南スーダンでPKO活動の陸上自衛隊に昨年12月、安保法で可能となった「駆け付け警護」の任務を付与したことだ。

 離れた場所にいる国連や非政府組織(NGO)の職員らが武装集団などに襲われた際、武器を使って警告するなどして警護する。戦闘に巻き込まれるリスクが高まる。

 現地自衛隊からの「日報」が防衛省で「隠蔽(いんぺい)」されるなどの問題が吹き出した。

 首都ジュバでは昨年7月、政府軍と反政府勢力との間で大規模な戦闘が発生し、270人以上が死亡している。この時期の日報は「戦闘」の表現が相次ぐ。だが、稲田朋美防衛相は「武力衝突」と強弁した。今月になって安倍首相は5月末に撤収させる方針を発表した。安保法の実績づくりが最大の目的だったのではないかとの疑念が消えない。国会で総括する必要がある。

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 全国の在日米軍専用施設の約70%が集中する沖縄で、安保法を先取りする形で、米軍と自衛隊の共同訓練が進む。特に米軍キャンプ・ハンセンでは「共同使用」が顕著で2008年以来、今年2月までに陸自の訓練が射撃を中心に333回に及んでいる。

 共同使用の合意がないキャンプ・シュワブや北部訓練場でも水陸両用作戦やレンジャー訓練などが行われている。

 沖縄は負担軽減どころか、自衛隊が増強され、日米一体化によって負担増に向かっている。沖縄を再び戦場にしてはならない。