県では脳出血を発症する60歳未満男性割合が高く、その死亡率は全国でも上位にあります。脳出血の脅威が沖縄の働き盛り世代を直撃しているのです。その原因として働き盛り世代の健診の受診率が低く、高血圧の治療を放置していること、さらに過度の飲酒習慣にあることが指摘されています。

 県内では年間約3千人程度の方が新たに脳卒中を発症しています。脳卒中は脳や頸部(けいぶ)の血管が詰まることで発症する脳梗塞、脳の血管から出血して発症する脳出血、クモ膜下出血があります。

 脳卒中の症状は軽症から重症まで幅広く、命を落とすこともあります。そして脳卒中の患者さんの3割以上は介護が必要な後遺症を残します。ですから日頃の予防が何よりも大切です。

 脳卒中の原因は加齢に加え、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、肥満、喫煙、過度の飲酒などの生活習慣病があります。脳卒中の原因で注目されている疾患があります。それは心房細動という不整脈です。心房細動は心臓の中に血の塊(血栓)を形成します。血栓が血流に乗り脳血管に入り込むと大きい脳梗塞を引き起こします。近年、心房細動に伴う血栓を予防する新しい薬剤が次々と使えるようになり高い効果を上げています。定期的に心電図をチェックして早期発見に努めることが重要です。

 さらに脳卒中は再発しやすい病気です。特に脳梗塞患者の10人に1人が3年以内に脳梗塞を再発します。再発予防のためにも通院治療が引き続き必要なのですが、脳梗塞患者の5人に1人が自己判断で通院を中止し、再発予防のお薬を中断してしまいます(日本脳卒中協会調査による)。再発予防を継続的に行う大切なパートナー、かかりつけ医が必要です。

 県では「おきなわ脳卒中地域連携」事業が始まっています。脳卒中発症早期の治療を担当した総合病院、リハビリを担当した回復期施設、そして生活習慣病予防と脳卒中再発予防を担当するかかりつけ医がそれぞれ連携して、質の高い脳卒中対策を行う事業です。この事業により多くの脳卒中患者さんが安心して治療を継続できることが期待されています。

 脳卒中の制圧にはもちろん、発症早期の脳卒中医療体制の普及が大切です。しかしそれ以上に大切なのは常日頃からかかりつけ医と連携して「予防」に取り組むことなのです。(伊佐勝憲 伊佐内科クリニック)