南スーダンに派遣された国連平和維持活動(PKO)部隊の日報や、大阪市の学校法人「森友学園」への国有地払い下げを巡る問題で、公文書管理の在り方が問われている。

 公文書管理法は第1条で国の文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付ける。しかし二つの問題から透けて見えるのは、都合の悪い文書はできるだけ公開しないという役所の姿勢だ。

 陸上自衛隊部隊が作成したPKO日報の情報公開請求に対し、防衛省が「廃棄済み」を理由に不開示としたのは昨年12月のこと。その後、同省統合幕僚監部や陸自に電子データが保管されていたことが判明した。

 2月に一部公表された日報には、「戦闘」「攻撃」といった言葉が並び、現地の生々しい状況が記録されている。

 情報公開請求があったのは「駆け付け警護」の新任務を付与するか議論が続いていた時期である。憲法やPKO参加5原則に抵触しかねない「戦闘」の表現を隠したかったと疑われても仕方ない。

 一方、国有地が8億円余りも値引きされるなど取引の不透明さが指摘される森友学園問題で、財務省は2月、学園側との交渉・面会記録を「廃棄した」と説明した。

 契約から8カ月しかたっていない段階で「記録が残っていない」というのは、にわかに信じがたい。

 「政治家から不当な働き掛けはなかった」と繰り返しても、記録がない以上、正当性を検証することは困難だ。 

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 公文書管理法に基づく陸自の文書管理規則でPKO関連文書の保存期間は3年と定められている。だが「随時発生し、短期に目的を終えるもの」などは例外的に1年未満で廃棄できるとしている。当初、防衛省は廃棄の理由をこう正当化していた。

 財務省も交渉や面会記録など歴史公文書に該当しない文書の保存期間は1年未満とする同省文書管理規則を盾にする。昨年6月の売買契約締結をもって事案終了のため廃棄したとの主張だ。

 本来1年未満の保存文書とは「月間予定表」など管理を要しない軽微なものである。

 自衛隊員の命を危険にさらすかもしれない記録や、払い下げという公平性が問われる文書を1年未満とするのは、制度の恣意(しい)的運用にほかならない。

 「抜け道」だらけの公文書管理法の抜本的な改正が必要だ。

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 2014年7月の集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定に際し、内閣法制局が内部検討の経緯を示した議事録などを公文書として残していなかったことが問題になった。

 公文書保存に対する政府の意識の欠如は、目に余る。

 本来、政策決定に関する文書は国民共有の財産である。そこに至る過程の妥当性を検証することが、将来のよりよい政策判断につながるはずだ。

 国民から、その財産を利用する権利を奪ってはならない。