沖縄県糸満市喜屋武の作詞家、茂屋武光さん(68)は、琉球放送(RBC)が1965年ごろに放映したドラマ「くずれ格子」の同名主題歌をリバイバルしたCDを3月に発売した。夜の放映時は、銭湯から客が消えたといわれるほどの人気を誇った番組。茂屋さんは脳裏に残る歌のイメージを守りながら、大胆にハワイアン調に変えた。司会業のマイケル中本さん(56)=浦添市=が低く優しい声で歌い上げる。原曲を歌った元RBC社員、又吉盛保さん(78)は「こういう歌い方もあったか」とうなり、歌い継がれることを喜んだ。(南部報道部・堀川幸太郎)

RBCの時代劇ドラマ「くずれ格子」の主題歌をリバイバルし、CD化した茂屋武光さん(右)とマイケル中本さん=糸満市の市公設市場

「くずれ格子」の主題歌を約50年前に歌った又吉盛保さん。今も頼まれて歌うことがあるという(本人提供)

RBCの時代劇ドラマ「くずれ格子」の主題歌をリバイバルし、CD化した茂屋武光さん(右)とマイケル中本さん=糸満市の市公設市場 「くずれ格子」の主題歌を約50年前に歌った又吉盛保さん。今も頼まれて歌うことがあるという(本人提供)

 RBC50周年記念誌によると、ドラマ「くずれ格子」は主人公が妻の形見で格子柄の一種、くずれ格子柄の着物姿であだ討ちの旅をする勧善懲悪の時代劇で、主役に沖縄芝居のスター、高安六郎さんらを起用した。娯楽の少ない当時、普及し始めた白黒テレビを通して沖縄芝居を芝居小屋からお茶の間に持ち込み、大ヒットした。

 「妻のおもかげ 夜つゆにぬらし」という歌い出しの主題歌は、「芭蕉布」で知られる普久原恒勇さんが作曲した。哀調を帯びたフルートと箏の音色が印象的で、又吉さんによるとラジオに1日70回のリクエストが来る日があったほど大当たり。レコード化され、沖縄発の歌謡曲として数年間、美空ひばりの歌と県内ヒットランキング上位3傑を競ったという。今も70代前後がカラオケで親しむ。

 放映当時、17歳だった茂屋さん。番組の内容は覚えていないが、主題歌の一部は今でも口ずさめる。約20年前から作詞活動を続ける中、いつか「くずれ格子」を復活させたいと思っていた。昨夏、糸満市公設市場のイベントで偶然聞いたマイケル中本さんの歌声にほれ込んで出演を求めた。ことし2月の収録では、中本さんの深みのある声を生かしてハワイアン調にアレンジした。

 茂屋さんと中本さんは「原曲をなぞるのではなく新味も加え、大衆娯楽を追求した時代の思いを歌い継げたら」と語る。NHKのど自慢大会の沖縄代表に2度選ばれた実績から、入社して間もなく原曲を歌った又吉さんは「大胆なアレンジで、時流に沿って歌い手や聴き手が変わると実感する。これまでと違う層に曲を聴いてもらえると思う」と喜んだ。

 CDは茂屋さん作詞の「海人」「かりゆし糸満」やカラオケも含め、5曲で税抜き1500円。