「誰もハッピーにならないよ」。最近会った政府関係者からいきなり切り出され、面食らった。外国人留学生を取り巻く実態を伝える一連の本紙記事について、意見交換しようとした時だった

▼「ハッピーにならない」という見解はこうだ。入国申請を巡る不正・偽造は、いわば当事者間の暗黙の了解で、それを白日の下にさらせば、対応を迫られた入管当局が審査を厳格化するだけ。留学希望者、日本語学校、外国人を雇う事業者などがたちまち困窮する、というものだ

▼確かに、申請が軒並み却下されれば、留学の夢が遠のき、学校経営や業務の人繰りへの影響は計り知れない。一方、法制度に絡むさまざまな問題点や矛盾を放置したままでいいとも言えないはずだ

▼では、どうすればいいのか。決め手があるわけではないが、法制度の改善を模索するのも一つの答えではないか

▼国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、人口減少に突入している日本の生産年齢人口は現在と比べ、2065年には4割以上落ち込むとされる。労働力不足を補うため、経済界は外国人に活路を見いだそうとしている

▼単純労働を目的にした入国を認めていない日本で、留学生の存在はもはやなくてはならない。働く担い手をどう確保するのか。当事者の意見を踏まえた政治的知恵が求められる。(西江昭吾)