観測史上初めて2度の震度7の揺れが襲った熊本地震から14日で1年。復興の一方、支援の充実や心のケアは課題が山積する。沖縄県出身者は県人会やボランティアで支え合い、大学生は語り部で体験を伝える。震災が風化しないことを願い、「熊本を訪れてほしい」と呼び掛けている。

■重く考えず観光へ 下地明友さん(熊本学園大学教授)

下地明友さん

 熊本の復興は道半ばだ。熊本学園大も校舎の修復工事が続く。学生はボランティアに励み、土日には仮設住宅でカフェを開き、子どもと遊び、大人と交流する取り組みを続けている。

 1年がたち復興・回復する人と、支援が届かず孤立する人の差が出ている。民間賃貸住宅を借り上げた「みなし仮設」は支援が届きにくい。貧困や孤独死、自殺につながる可能性もあり、ケアが必要だ。

 被災地を訪れることが支援になる。名物を食べ、熊本の人と雑談するだけでも心のケアにつながる。重く考えず観光に来てほしい。

■公的支援の拡充を 田村貴英さん(熊本沖縄県人会会長)

田村貴英さん

 今月9日にも震度3の地震があり、2時間ほど車に避難した。1年が経過したが揺れへのトラウマがある。自宅修理の支援金は出たが、店舗には適用されず、経営する飲食店の修復に280万円かかった。公的支援を拡充してほしい。

 それでも県人会会員に亡くなった人もなく、前向きになっている。昨年中止したバス旅行も計画しており、温泉に入り、地震を忘れて交流を深めたい。

 地震はいつ襲ってくるか分からない。水の確保や防災グッズの準備、家具の転倒防止など事前の備えを沖縄でも取り組んでほしい。

■絆の重要さ伝える 仲村可奈子さん(東海大学農学部4年)

仲村可奈子さん

 東海大学の学生3人が亡くなった南阿蘇村で語り部を続けている。地震で阿蘇大橋は崩落し、アパートもつぶれた。学生は大家さんや地域の人と家族のようなつながりがあり、救助が早く、助かった人も多い。

 学生ボランティア「阿蘇復興への道」の語り部は、一般や企業団体の人に地域の絆の重要さを伝えている。参加者から「隣の住人も知らない。今後はつながりを持ちたい」と言われると、自分の経験が誰かの役に立っていると実感できる。

 見聞きして初めて知ることもある。多くの人が南阿蘇を訪ねてほしい。