審判は下った。辺野古問題の分水嶺となる決定的な選挙結果である。民主政治を前提にする限り、新基地建設計画を維持するのは、もはや不可能だ。

 参院選沖縄選挙区は、無所属新人で元宜野湾市長の伊波洋一氏(64)が、安倍政権の現職閣僚で自民党県連会長を務める島尻安伊子氏(51)ら2人の候補を大差で破り、初当選した。

 安倍自民党は全国の選挙区で順調に議席を増やし、比例代表でも下馬評通りの強さを発揮した。にもかかわらず、辺野古問題を抱える重点区の沖縄選挙区で、現職閣僚の議席を守ることができなかったのである。

 これによって沖縄の自民党は、衆議院にも参議院にも選挙区選挙で当選した議員が1人もいないことになる。衆院の現職4人は、2014年12月の総選挙の際、辺野古反対を掲げる候補に敗れ、比例で復活当選した人たちだ。

 一連の選挙で示された「沖縄の民意」は明白である。

 普天間飛行場の移設推進に向け強硬姿勢を示し続けてきた島尻氏をあえて沖縄担当相に抜てきし、経済界や市町村長への影響力を行使しつつ沖縄の分断を図り、辺野古推進勢力を拡大していく、という安倍官邸のもくろみは崩れ去った。

 我田引水の解釈で結果を取り繕うのではなく、見たくない現実に向き合う柔軟さと度量、まっとうさが大切だ。

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 1月の宜野湾市長選に敗れたあと、その総括をめぐってオール沖縄会議が揺れ、伊波氏の擁立に赤信号がともった時期もあった。

 島尻氏は、現職閣僚の強みを発揮し、「子ども支援」「健康長寿」「経済振興」という有権者の関心の高いテーマを前面に掲げ、エプロン姿で有権者にアピールした。

 だが、皮肉なことに、生活を重視する女性閣僚に強い拒否反応を示したのは、女性の有権者であった。

 県外移設の選挙公約を当選後に撤回したことや、辺野古移設推進の立場を鮮明にして強硬姿勢を示し続けてきたことが、有権者の厳しい批判を招いたのである。

 伊波氏に対して、中高年の女性から「絶対負けないでよ」という懇願するような声援が飛んだのは、島尻氏の当選だけは阻止したい、という悲壮感の表れでもあった。

 政府が、この期に及んでもなお、アメとムチの予算措置によって基地受け入れ層の拡大を図るようだと、沖縄社会は「受益層」と「受苦層」に分断され、取り返しのつかない傷を負うことになる。

 それは横のつながりを維持してきた融和的な沖縄社会をぐちゃぐちゃに押しつぶし、民主政治を破壊することにほかならない。

 選挙結果を受けて政府が真っ先に取りくむべきことは、「辺野古が唯一の選択肢」だという恫喝(どうかつ)まがいの一方的主張を取り下げることだ。

 辺野古の埋め立て承認取り消し問題で、福岡高裁那覇支部は、この種の訴訟としては異例の和解勧告を提示し、国と沖縄県に話し合い解決を求めた。

 総務省の第三者機関である国地方係争処理委員会も委員会としての判断を回避し、国と沖縄県のさらなる協議を求めた。

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 行政権力をチェックする機能を持つ司法と、総務省の第三者機関が現状を憂慮し、そろって「話し合い解決」を求めたのである。

 それが筋だ。

 国が「裁判を起こせ」と県をけしかけるのは、裁判による勝利という、争いを前提にした考え方で、真の解決を求める姿勢からはほど遠い。

 そもそもなぜ、沖縄だけがこのような一方的基地押しつけを甘受しなければならないのか。

 選挙結果を無視して新基地建設を進めるようなことがあれば、これはもう地方自治に対する国家の暴力的介入というほかない。

 普天間飛行場の辺野古移設計画は頓挫した。

 一連の選挙で示された「沖縄の民意」は重い。政府は、直ちに計画見直しに着手し、県との話し合いに入るべきである。