自らの存在の根っこの部分が揺さぶられるような怖さと不安。東京勤務中に遭遇した東日本大震災とその余震でそんな心境にかられた

▼2度にわたる震度7の猛烈な地震に襲われた熊本地震から1年がたった。熊本、大分両県で関連死を含め225人の犠牲を出した。住宅の全半壊は4万2千棟を超えた

▼今月9日までの約1年間で震度1以上の地震は4200回以上を記録している。熊本日日新聞の知人は住宅が半壊。車で寝泊まりしながら、仕事に向かったという。「いつも神経が張っていた。いつまで続くのか、と心が安まることがなかった」と振り返る

▼強烈なストレスは被災者の心身に襲いかかり、命を奪われた人も少なくない。家屋の下敷きなどによる直接死50人に対し、車中泊で亡くなった人を含む関連死の人数は3倍に達することからも分かる

▼14日の犠牲者追悼式の遺族代表であいさつした冨永真由美さん(58)は、母の津崎操さん=当時(89)=を失った。最初の大地震で冨永さんは寝たきりだった操さんらと車内に避難。2度目の大地震後に、操さんの容体が急変した

▼母を失った悲しみは癒えない。冨永さんは「私たち遺族が少しでも前を向き、元気に歩き出すことは、亡くなった方々の望みではないでしょうか」と語った。復興は道半ば、被災地の人々を応援したい。(与那原良彦)