2017年(平成29年) 12月17日

社説

社説[北朝鮮情勢緊迫]外交努力を放棄するな

 米海軍が原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群を朝鮮半島近海に向かわす。北朝鮮は「敵対勢力の頭上に核の雷を落とす」と威嚇する。韓国では米軍による北朝鮮の4月攻撃説が不安をあおり、日本は韓国に滞在する人や渡航する人に注意を促す海外安全情報を出した。

 北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り、東アジア情勢が緊迫している。

 トランプ米大統領は中国の習近平国家主席との会談で、中国が北朝鮮の非核化に向けて具体的な行動を取らなければ、単独行動を辞さない考えを示した。トランプ氏は「全ての選択肢がテーブルの上にある」という。軍事的行動をためらわないという意味だ。

 オバマ前政権の「戦略的忍耐」政策が失敗し、「力による平和」への転換である。北朝鮮への警告と同時に、中国に対し北朝鮮への影響力を行使させたい狙いがあろう。

 トランプ氏はシリアを巡航ミサイルで攻撃。アフガニスタンでは「イスラム国」(IS)に大規模爆風爆弾(MOAB)で空爆するなど「力による平和」を誇示している。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「予測不能」である。今月15日に故金日成主席生誕105年、25日には朝鮮人民軍創建85年と重要日程が続く。6回目の核実験や弾道ミサイルの発射など軍事的挑発に出る恐れが消えない。

 「戦略的忍耐」の間に、核と米本土を射程に入れた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が進む。

 米国が単独行動に出れば、北朝鮮だけでなく周辺諸国は取り返しがつかない大きな被害を受ける。軍事行動は避けなければならない。両国に強く自制を求める。

■    ■

 米NBCテレビは、北朝鮮が核実験をすると確証を得た段階で、米軍が通常兵器による先制攻撃の準備をしていると伝えた。

 北朝鮮が先月、日本海への弾道ミサイル4発の発射で、在日米軍基地を標的にしていることが明らかになった。北朝鮮は日本のほぼ全域を射程に収める中距離ミサイル「ノドン」を実戦配備している。米軍が攻撃すれば北朝鮮は反撃で韓国に砲弾を撃ち込み、在日米軍基地を攻撃する恐れが現実になりかねない。

 日本は米国に自制を促すべきだが、カール・ビンソンと海上自衛隊の護衛艦の共同訓練を実施する方向で調整している。安倍晋三首相は国会で「北朝鮮の行動を改めさせる必要がある」と米国の強硬対応が必要との認識を示している。危ういというほかない。

■    ■

 北朝鮮は最高人民会議で「外交委員会」を復活させた。本当の狙いはうかがい知ることができないが、米国や韓国との交渉のベテランを連ね、外交強化のためではないかとみられる。対話を求めるシグナルかもしれない。

 中国も北朝鮮崩壊で引き起こされる政治的混乱や難民流入は避けたいはずである。

 北朝鮮の核廃絶に向けては6カ国協議を再起動させる必要がある。米中を中心に関係国が外交努力を尽くす中でしか核・ミサイル問題の解決の道はない。

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