2014年に起きた米兵ライフル立てこもり事件で、米軍の捜査報告書から浮かび上がってくるのは武器管理のずさんさと地元への通報体制の不備である。

 本紙が情報公開請求で米海軍捜査局(NCIS)の捜査報告書を入手してわかった。

 男は14年10月30日早朝、車でキャンプ・ハンセンに行き、射撃訓練場で銃弾を盗んだ。キャンプ瑞慶覧の武器庫では担当者に射撃大会の練習のためとうそをつき、ライフルを入手した。さらに自宅のあるキャンプ桑江まで移動し、自殺をしようと浴室に立てこもった。

 殺傷能力が高い武器を簡単に手に入れることが可能なのである。基地周辺の住民にとっては危険極まりない。

 男は同僚に電話で自殺をほのめかすなどしたが、約4時間後に米軍捜査当局に身柄を拘束された。同僚の説得などで発砲はしなかった。

 男の自宅から民間地域までは約150メートルしか離れていない。男は民間地域をライフルを所持したまま通っており、もし発砲していたらと考えるとぞっとする。

 在日米軍司令部は本紙の質問に武器管理は「厳格であり、必要があれば定期的に見直している」と回答している。男が武器を手に入れた経緯を見れば、米軍が自ら「厳格」というにはあまりにもずさんである。沖縄の民間地域を危険にさらしている反省がないと言わざるを得ない。

 事件当時の武器の所持・管理体制はどうだったのか、詳細に明らかにした上で、立てこもり事件の前と後で武器管理の在り方をどう見直したのか、説明すべきだ。

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 男が立てこもっている間、基地内では一時避難する騒ぎになりながら、沖縄防衛局から地元北谷町などへ情報が提供されたのは身柄が拘束された後だった。住民の生命をないがしろにしているというほかない。

 基地内で事件・事故が発生した際の通報手続きについては1997年の日米合同委員会で、米側が中央レベルと現地レベルで通報することで合意している。

 その後、県、日本政府、在沖米軍で構成する「三者連絡協議会」でも米側が速やかに地元に情報提供することを確認しているが、あくまで米軍の「好意的通報」との位置付けだ。日本側に通報するかどうかは米軍の裁量次第ということである。

 気になるのは、男が事件の2年前に精神的な不調を米軍当局に訴えたにもかかわらず、対応しなかったことだ。男はアフガニスタンに派遣され、沖縄に帰任して事件を引き起こしている。

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 米本国では精神疾患に関連した発砲事件が多発し、米兵や退役軍人は一般人に比べて自殺率も高い。事件や自殺の背景にはテロとの闘いによる心の傷があると指摘される。

 沖縄の過重な基地負担は、在日米軍専用施設の約7割を占める面積や爆音、環境問題などがいわれるが、それだけではない。基地は民間地域と隣り合い、米本国ではあり得ない形態だ。住民の生命を脅かす存在なのである。