【石川達也通信員】ブラジル沖縄県人会元会長で、ブラジル沖縄文化センター元理事長の山城勇さん(89)=糸満市出身=がつづった自分史「回顧録-おしどり米寿を迎えて」(日ポ両語)の出版祝賀会がこのほど、沖縄県人会大ホールで開催され、約300人が盛大に祝った。

回顧録を出版した山城勇さん(中央)と妻の千恵子さん(右から2人目)

 戦争体験や移民生活など激動の半生を振り返り、山城さんは「二度と戦争を起こさないように、戦争を知らない世代に一番読んでほしい。あの地獄を繰り返してはいけない。次の世代には世界情勢を見て、平和に向けた活動をしてほしい」と真剣なまなざしで訴えた。

 糸満市米須出身の山城さんは、軍国少年として1943年に満州開拓青少年義勇軍に志願した。終戦後も2年間、大連で必死の避難生活を過ごし、ようやく引き揚げた。故郷の米須は人口の半分以上の648人が戦没した激戦地だった。家族全滅かと思っていたら、生存者がおり、涙の再会を果たした。

 その後、朝鮮戦争を経て、南米移住へと駆り立てられ、当地で活躍した様子が収められている。

 祝賀会は盛況で、パウロス美術印刷の島袋パウロ・ヒロフミ社長は「こんなに集まる出版祝賀会は珍しい。回顧録がこれだけ行き渡ったのがうれしい」と喜んだ。

 開会あいさつでは長男の山城一也さんが糸満なまりの沖縄言葉を交え来場客を楽しませた。発起人代表として宮城あきらさんが出版の経過を紹介。「この自伝は長男、家族との対話でもあり、人間的に深い内容を持つ記録だ」と力を込めた。

 島袋栄喜県人会長は来賓の祝辞で「苦難の道を乗り越え、平和を願う山城さんの人生がつづられたこの本は、読者に大きな感動を与えるだろう」と絶賛。日伯文化福祉協会の呉屋春美会長、日本ブラジル都道府県人会連合会の山田康夫会長らも祝辞を述べた。

 山城さんから日系3団体と沖縄県人会へ寄付が贈られた。妻の千恵子さん(85)=糸満市出身=は「一生懸命な姿を見ると自然と協力したいという気持ちが湧く。県人会長になっても、県人会から帰ってきて着替えもせずに家の仕事を助けてくれた」と家族思いの一面を語った。

 「山城さんの県人会での仕事を目にしていたが非常に仕事熱心な人」と語ったのは来場者の伊良皆成勤さん。「彼の回顧録はとても興味深い。今回の出版はとてもめでたい」と目を細めて祝った。