人間ドックや特定健診などでは必ず尿潜血を調べます。なぜでしょうか。それは尿からの出血が大きな病気の症状の1つであり、早期発見により治療が可能な場合があるからです。尿からの出血は血尿といい、一目で見てわかる明らかな出血(肉眼的血尿)と、顕微鏡で調べないとわからない程度の微量の出血(顕微鏡的血尿)に大きく分けられます。血尿の原因としては以下の病気が考えられます。

(1)内科的疾患 急性糸球体腎炎や慢性腎臓病など

(2)泌尿器科的疾患 腎がん・腎盂(じんう)腫瘍・尿管腫瘍・膀胱(ぼうこう)がんなどの悪性腫瘍、急性腎盂腎炎・膀胱炎・尿道炎・前立腺炎などの感染症、外傷による出血、前立腺肥大症・結石など。

 尿潜血は主に検査紙(テステープ)の変色により、赤血球の中のヘモグロビンを検出する方法ですが、正確に出血を判断できるかどうかというと、偽陽性・偽陰性とも多く、目安となる程度と考えたほうがいいでしょう。例えば、細菌の増殖(膀胱炎など)・酸化剤の混入などでは偽陽性となりますし、ビタミンCの大量摂取では偽陰性となります。その他いろいろな原因があり、尿潜血陽性が直接出血を示すわけではないことを覚えておいてください。

 では、検診で尿潜血陽性が出た場合はどうしたらいいでしょうか。上に示すように、重大な病気が隠れている可能性があります。慢性腎臓病は放置すると腎不全に至り、透析が必要になる事が多いですし、がん、特に膀胱がんなどは早期発見により治療効果が見込めます。尿潜血陽性が本当に血尿なのか、必ず専門医を受診して調べてもらってください。肉眼的血尿はがんを強く疑う所見です。ご本人がすぐわかるので、直ちに総合病院など泌尿器科がいる病院への受診をしましょう。顕微鏡的血尿は微量の出血のため、目で見ても出血はわかりません。尿を遠心分離機にかけ、分離された細胞成分(尿沈渣と言います)をその名の通り顕微鏡で見ることで確認できます。腎内科か泌尿器科では確実に調べますので、できるだけ早めに当該科を受診してください。

 さて、尿潜血陽性でも血尿が認められない場合、血尿があっても検査の結果はっきりした異常が認められない場合はそのままでもいいでしょうか。検査のあと、新しく病気が発病することがあります。また時間がたつにつれて徐々に異常がはっきりしてくることも多いです。ある年では異常なしだとしても、引き続き1年に1度の健診はきちんと受診しましょう。(砂邊毅 砂辺腎・泌尿器科)