恩納村安富祖の遺体遺棄現場には花束やペットボトルのお茶が供えられ、手を合わせる人が絶えない。残虐で卑劣な事件に多くの県民が怒り、悲しみ、自責の念を抱き続けている。

 うるま市で20歳の女性会社員の命が元米海兵隊員で軍属の男(33)に奪われた暴行殺人事件から1年が過ぎた。

 希望に満ちた未来が待っていたはずの女性の人生が突然断たれた。今でもつらく、やりきれなさが募る。

 一周忌にあたり父親が手記を公表した。

 「今、私たちが娘に伝えたいことは、痛く苦しい思いをさせてしまったね、でも今は安らかに眠ってね、ということです」

 最愛の一人娘を失った父親の気持ちに思いをいたすと胸が締めつけられる。

 翁長雄志知事は記者会見で「国と米軍と私たちの気持ちのずれがずっと埋まらない。(日米両政府が)当事者意識を持っておらず、悲しい事件が(今後も)起こり得る」と日米両政府を批判した。

 男が軍属であったことから日米両政府は軍属の範囲を明確化する日米地位協定の「補足協定」に署名、発効した。

 軍属の契約更新の際に適格性基準を満たさなければ、その地位を終了するとしているが、これでどれだけ犯罪抑止に効果があるか疑問だ。

 そもそも軍属は全体のわずかを占めるに過ぎず、軍属の範囲を明確化することと凶悪犯罪を未然に防止することがどうつながるのか、はっきりしないからである。

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 再発防止策として政府が結成した「安全パトロール隊」が昨年6月から本島各地を回っている。民間警備会社へ委託するなどして100台、200人体制を整えた。3月末までに路上寝など48件を110番通報しているが、米兵関係者はいないという。

 今年1月からは県警の警察官100人を増員した。米軍絡みの犯罪抑止にどのような役割を果たしているのか説明が必要だ。というのは増員警察官の枠を辺野古新基地建設の警備に回すのでないかとの懸念が消えないからだ。

 日米関係機関の実務者で構成する「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム」がある。会合を頻繁に開催して情報交換を密にするなど、米軍、日本政府、県警は犯罪抑止に向け、それぞれの取り組みを共有してもらいたい。

 再発防止策が実効性を持たないことを証明している米軍には、米兵や軍属にどういう教育をしているのか、具体的な説明を求めたい。

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 父親は「米兵や軍属による事件事故が相次ぐのは、沖縄に米軍基地があるがゆえに起こることです。1日でも早い基地の撤去を望みます」と手記につづる。

 全国の米軍専用施設の70・6%を沖縄に集中させ、人間の安全保障をないがしろにしていると感じている多くの県民の気持ちを代弁している。

 根本的な解決には基地政策を見直すしかない。日米地位協定の抜本的な改定と、在沖米軍兵力の約6割を占める海兵隊削減に踏み込むべきだ。