「白梅香」「熟れたほおずき」そして「雄ヤギ」。そんな香りがする泡盛があるのだという。何とも興味深い表現だ

▼沖縄国税事務所などがまとめた泡盛の「フレーバーホイール」には泡盛に含まれる香りや味わいに関する49の用語が示されている

▼古酒の甘い芳香にバニラの香り成分が含まれていると取材時に聞いたことはあったが、こんなにも多様な風味があったとは。中には「キノコ」「たくあん」「せっけん」「紙」など、「濃い」「薄い」程度しか味が分からない身にとっては、若干戸惑う用語も

▼とはいえ一定の基準となる表現が定められたことは大きな成果に違いない。ビールやワイン、ウイスキーなど国際的にメジャーな酒類は1984年までに、清酒でも2006年には表現の整理が済んでいる

▼愛好家も生産者も共通言語で語り合うことができれば、消費者の好みが的確に把握できる。12年連続で出荷量が落ち込んでいる泡盛業界にとっては朗報だろう

▼冒頭の表現は1945年、沖縄戦で没した尚王家の子孫の尚順氏が書き残した戦前の泡盛の味わい。残念ながら沖縄戦で失われたとされるが、いったいどんな風味だったのか。中には好き嫌いが二極化しそうな香りもあるが、泡盛ファンならずとも、「幻の風味」への想像がかき立てられる。(玉城淳)