きょうはメーデー。働く人の権利や労働環境の改善を求めて労働者が結束して訴える日である。1日までに全国各地で開かれることしの集会では、「長時間労働の撲滅」「格差是正の実現」などが大きくうたわれている。

 長年解決が望まれてきた課題であるが、政府の「働き方改革実行計画」が3月末にまとまった後だけに、労働者側の解決に向けた意欲を表していると言える。

 だが、現実は厳しい。文部科学省が28日に公表した小中学校の教員の勤務実態調査で、週60時間以上も勤務する教員が小学校で3割以上、中学校で約6割に達することが示された。過労死ラインを上回り限界を超える状況である。

 改革実行計画では、長時間残業の規制や、正規社員と非正規社員の不合理な差を改善する「同一労働同一賃金」の推進が柱となっている。派遣労働を原則自由化する労働者派遣法改正など、経済界の都合を優先して労働規制を緩和してきた従来の政府方針からの転換ともいわれる。

 バブル崩壊後、日本経済はデフレを伴った停滞基調が長く続く。労働規制の緩和で低収入層が増え、リーマン・ショックの影響なども加わり、所得格差は拡大。経済を下支えしてきた中間層が細った。

 2012年末に発足した安倍政権は、経済成長重視政策をとり、4年連続で賃上げを実現し、失業率も低下。経済は数字上は改善した。働き方改革も成長戦略の一環として打ち出したが、労働者保護の姿勢をのぞかせたことは改善の第一歩ではある。

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 ただ、課題が多く残っていることを忘れてはならない。

 同計画では、焦点だった残業時間の上限を、原則月45時間、年360時間と明記した。だが、繁忙期の特例として上限を1カ月100時間未満、繁忙が2~6カ月続くなら月平均80時間以内、年間合計で720時間以内とした。

 過労死で家族を失った遺族らが特例に反発するのも当然である。上限の100時間や、2~6カ月の月平均80時間は、労災が認定される過労死ラインぎりぎりまで働かせられることになるからだ。

 15年度に脳・心臓疾患で死亡し、労災認定された96人のうち、半数以上が月80~100時間の残業をした後に亡くなっているのだ。

 別の抜け穴もある。特例には休日に働いた労働時間が含まれず、休日分を含めると、計算上は年960時間まで働かせることが可能になる。

 これでは労働者視点が不十分と言われても仕方ない。

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 全労働者の4割を占める非正規社員の賃金水準は、正規の6割弱にとどまる。格差縮小のため、盛り込まれた「同一労働同一賃金」の実現だが、言葉通りには捉えられない。仕事の実態に違いがなければ同一賃金を、違いがあれば相応の賃金支払いを求めているが、大幅な賃上げや格差解消は期待できそうにない。

 労働者が働きがいを持って生活できる環境を要求するのは当然だが、この改革ではまだ充足しない。今後も不断の見直しへの参画が必要だ、とこのメーデーに確認したい。