将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が1日の対局で勝利し、自身の持つデビュー後の連勝記録を「15」に更新した

▼若き天才棋士の出現に、将棋界が明るいニュースで沸いている。ヘボ将棋を指す身にも、まだあどけない顔の藤井四段が今後、どんな棋士になっていくのか楽しみである

▼将棋は、勝敗を競うゲームの枠を超えて、時に人生と重ねて語られることがある。18期にわたり名人位にあった大山康晴さんは生前、「方尺の盤上に人生」と色紙に書いた

▼着手の特徴を棋風と呼び、人生観や信念の違いが反映されるといわれる。元7冠の羽生善治3冠は、自在な戦法の「羽生マジック」で知られ、1月に引退が決まった加藤一二三・九段は「加藤棒銀」と呼ばれる一つの戦法にこだわった

▼棋譜を見れば、だれが指したか分かるという。無数の選択肢があっても、結局は自分の棋風(生き方)に合った手しか選べないということなのだろう。人工知能を駆使し、勝率や効率など合理性を追求したコンピュータ将棋との違いである

▼作家の菊池寛は「人生は一局の将棋なり。指し直す能(あた)わず」と言った。何度かめぐってくるチャンスに勝負手を放つタイミングが人生を決めるという意味である。若き天才の快進撃の報に、連勝とは無縁のわが人生の「棋譜」を振り返ってみる。(稲嶺幸弘)