粟国村製糖施設(沖縄県粟国村東大久保原)の黒糖作りの余り物「さーたーゆー」(砂糖湯、黒蜜)が、2015年から期間・島内限定で売り出されている。今年も4月中旬の操業終了後から販売され人気だ。しょうゆの黒さを強めたような色の液体で、口に含むとコクの豊かな甘みが広がる。製品の黒糖を湯に溶かすよりもえぐみがなく、溶かす手間がない分、料理に使いやすい。12年に現在の密閉・衛生管理型の施設になる前は、多くの住民が譲り受けに訪れたという懐かしい味だ。(南部報道部・堀川幸太郎)

粟国村だけで販売される「さーたーゆー」。島産黒糖作りの過程で出る余り物で、島民が親しむ懐かしい味だ=4月、同村東

 村東のJAおきなわ粟国支店の売店だけで販売し、1リットル税込み600円。島ではコーヒーの砂糖代わりや生クリーム、ラフテー、魚の煮物などに使われる。家で愛用する同支店製糖工場長、久保伸一さんは「サーターアンダギーの生地に混ぜるとふっくら感が増す」と説明する。

 もともとは製糖の過程で出る余り物。サトウキビの搾り汁を24時間掛けて濃縮し、甘みを5倍にした液体だ。タンクから次の工程に送る際、どうしても底に残ってしまうという。今年1月16日~4月11日の86日間の操業後に取り出した。除菌検査を徹底する施設で管理され、糖度が高いこともあってこの時点で傷んでいることはない。

 島限定販売なのは余り物だけに量が少なく、扱いも不慣れだと難しいから。冷蔵が基本で1年以上使いこなす人がいる一方、誤って糖分の結晶化を招けば薄まった部分から傷むという。

 その点、島の人は扱い慣れている。昔の製糖工場は人が出入りできたことから、じか火の大鍋で人が煮詰める時に出るさーたーゆーを譲り受けに来る人が多かった。12年に密閉・衛生管理型で機械化を進めた新工場になって消えた光景だが、「欲しい」との声が相次いだため15年から販売を始めた。

 今では、1月から発売時期を尋ねる電話があるほど注目を集める。製糖工場の久保さんによると本季の島産サトウキビは作付面積、収量、糖度(16度)のいずれも島歴代1位。黒糖を作る8離島でも最高糖度だ。久保さんは「最高の味を島の人々に楽しんでもらえればうれしい」と話した。