政治家や官僚らのインタビューを重ね、日本政治を研究する御厨貴(みくりや・たかし)・東大名誉教授は著書「政治家の見極め方」で、「政治家は総じて欲深く嫉妬(しっと)深い生き物」と指摘する。そして、「いつまでも、『あ!』と言われたい」とし、世間からの注目が政治家の活力だとみている

▼教職員採用試験への口利き疑惑などで辞任した安慶田光男前副知事が沖縄経済に関するシンクタンクを設立する動きが波紋を広げている。「県と政府のパイプ役」を目指すとしている

▼辞任後も、東京で菅義偉官房長官と鶴保庸介沖縄担当相らと会談を重ねている。基地問題の交渉の中で得た菅氏との人脈を生かして、政府の“窓口役”を担う狙いがあるという

▼安慶田氏は宮古島に生まれ、石垣市で育った。那覇市議を皮切りにキャリアを積んだたたき上げの政治家だ

▼政局を見通す勘が鋭く、選挙担当の記者時代はその見立てを参考にしていた。面倒見がよく、人情家の一面がある。東京での会談では、辞任を気遣う菅氏の言葉に涙ぐむ場面もあったという

▼安慶田氏のパイプ役は県と政府の間で表と裏の二重交渉を生み出し、臆測を呼び、混乱を招きかねない。野党国会議員の1人は「隠忍自重する時期だ。政府の分断工作に手を貸すようなものだ」と批判する。引き際の良さがその政治家の評価を定めるものだ。(与那原良彦)