「ずっと首里に住んでいるから、ウグシク(御城)は身近な存在だけど、入場料が出るから気軽に行けなくて」。開園から2年近くたった頃、近くて遠い首里城への複雑な地域の思いを取材した

▼沖縄市で育ったせいか、首里城へのなじみは薄かった。取材で円覚寺、弁財天堂、沖縄戦の壕跡などを訪れるうち、興味が芽生えた。文化や伝統芸能も担当し、城を巡る伝統文化の広がりに無知な自分を恥じた

▼国が首里城の運営を来年度、県に移すことが固まった。観光資源として県の活用を後押しするのが目的という。「国と県、那覇市などの連携がまだ不十分だ」との指摘もあっただけに、関係者の期待も高まるに違いない

▼7日は1875(明治8)年に、明治政府が熊本鎮台分遣隊を琉球に派遣するよう通達を出し、王国解体や「首里城明け渡し」に向け、日本の軍事行動が具体的に動きだした日

▼琉球処分や沖縄戦による破壊、琉球大学敷地としての活用を経て、建造物の復元、国管理下での観光地化と、城は近現代142年の変化の荒波に、もまれてきた

▼県民の財産である首里城を観光客向けの場所だけで終わらせるのは、もったいない。歴史や文化を身近に感じるよりどころとするために何が必要か。国から県への「受け渡し」を前にみんなで知恵を出し合う必要がある。(玉城淳)