参院選から一夜明けた11日早朝、沖縄防衛局はヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設に向け、米軍北部訓練場に資材を搬入した。

 搬入作業は12日も続き、東村高江のメインゲート前では、工事車両を止めようとする市民を機動隊が強制排除するなど、混乱と緊迫の状態が続いている。

 選挙が終わったとたん、手のひらを返したような国の対応だ。

 日米両政府が、地位協定の軍属の範囲見直しを打ち出したのは参院選の5日前だった。細部が固まっていないにもかかわらず再発防止策を共同発表した。

 それが参院選沖縄選挙区で、政府の基地政策を厳しく批判する伊波洋一氏が大勝すると一転、県民感情を逆なでする強硬手段に出たのである。

 選挙で示された民意をいとも簡単に踏みにじるようでは、国と県の間に信頼関係が生まれるはずがない。

 総面積約7800ヘクタールの北部訓練場は、国頭村と東村にまたがる国内最大の米軍専用施設だ。日米両政府は1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、その半分の返還に合意した。

 だが返還は高江の集落を取り囲むように六つのヘリパッドを新たに建設することが条件だった。合意の背後にはオスプレイ配備も隠されていた。

 日米が一方的に返還計画を決め、決まったことには従えと言わんばかりの威圧的手法は、辺野古新基地を巡る問題とよく似ている。

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 東村には新たなヘリパッドが計画される前から15カ所ものヘリパッドがあり、住民は訓練に伴う騒音や墜落の危険に脅かされてきた。 

 建設予定地の北部訓練場は亜熱帯の原生林が広がり、ヤンバルクイナやノグチゲラなど世界中でここにしかいない動植物が生息する貴重な森である。

 かつて米軍はハワイでのオスプレイ運用で、遺跡への影響や地元の反対を理由に計画を取り下げたことがある。

 しかし沖縄では住民が騒音による睡眠不足や体調不良を訴えても、排ガスや下降気流が動植物に与える影響を指摘しても、全ての市町村がオスプレイ配備撤回の建白書を政府に提出しても、計画が変更されることはなかった。

 軍事上の必要性だけが強調され、本来最も大切なはずの住民の暮らしや安全が軽視されている。 

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 米軍にとってヘリパッドと辺野古新基地、オスプレイは三位一体のものだ。

 普天間に配備された海兵隊のオスプレイに加え、今後、横田基地に配備される空軍のオスプレイ訓練が、北部訓練場や伊江島補助飛行場、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブで実施されるのはほぼ間違いない。

 国は広大な北部訓練場の過半を返還することで負担軽減をアピールしたい考えがあるのだろうが、北部への米軍基地の集約化は、この地域に住む人からすれば、明らかに基地機能の強化であり、負担軽減と逆行する。